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第63話 ページ18

「A?!A、………ほんとに、良かった」





『……あかね、?』






茜は目に涙をいっぱい貯めて私を見る。
いきなり気を失っちゃうんだもん、と私を睨んだ。





『私、何してたんだっけ、』






「大学の帰りに池袋行って、トリップのこと話してたら…気を失っちゃって」














『茜』








なに、?







『トリップって、何?』








これほどまでに茜の目が見開かれたのは初めてだった。





「名探偵コナンだよ…!ジン、コナン君、安室さん、オキスバ…!」





好きじゃん、とボロボロ涙を零す茜に、『誰それ』と呟いてしまった。


泣かないで、茜。
別に、茜を悲しませたいわけじゃないの、





『…それのことは分からないけど、私はもう大丈夫だよ』






「……まだ安静にしてて。ナースさんに目が覚めたって言ってくるから」





『ありがとう』







その後、ナースさんが来て事情を説明された。

池袋と茜に来て、話しているときに唐突に頭痛に襲われてそのまま意識を失ってしまったのだと。





とりあえず院長さんに見てもらうと、もう何でもないようで。
茜と一緒に病院を出た。


***
茜side





目が覚めて、起きたAは名探偵コナンのことを何一つ覚えてなかった。


きっと、あいつは本当にトリップをしてきて、何かの拍子ーーあっちの世界で死んでしまったりとかーーで帰ってきたんだろう。




………院長先生が、言ってた。





「一時的な記憶喪失は、精神的な問題の場合覚えたくない事だったから忘れたという理由が多い」




「ですが、大切すぎたあまりに消さなければならなかったーーーーそういう理由だって、ある事にはあるんです」






なら、きっとAはここへ帰ってきて、平凡にまた暮らす為に記憶を全部自分で消したんだろう。
未練があっちゃ堪らない。もう二度と会えないのに、きっとこのまま行けば会えない人に恋をしていたのかもしれないのだから。


。だから、もう後戻りができなくなる前に消したんだ。







なんだか、涙が出てくる。



長年隣にいた、大親友の恋なんて応援しない他ない。





なのに、まさか好きになった人が。






ーーーーーーーーーー漫画の世界の住民だなんて。









ほろりと出た涙は、私のハンカチに薄く染みた。

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ccndayo(プロフ) - はあ。。素敵すぎました。途中で涙が笑 (2021年1月6日 2時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
れいすみす(プロフ) - 幸せでした…尊いをありがとうございます…しゅき… (2020年5月26日 19時) (レス) id: 993cffbbce (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 涙がボロボロと、止まらなかったです…凄く良い作品、ありがとうございました…( ;∀;) (2020年5月4日 10時) (レス) id: c930be9ed1 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年2月12日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)mこれからも素敵なお話を作ってください!ジン様好き〜〜〜! (2019年11月23日 0時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あると | 作成日時:2019年6月25日 2時

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