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第60話『探す面影』 ページ15

「何してたの?ナンパー?」






『いや、なんか目が誰かに似てて』






私がぼやくと、茜が思い立ったようで頭に電球が光った。






「それ、Aが好きな漫画のキャラじゃない?え、あんたそこまでなの…?」






『まってまってそれは誤解だよ』






「確か……安室、透…??みたいなやつ」






『あむろとおる…』






なぜだか、何度も言ったことがあるような口当たりのいい慣れた言葉。


安室透。たしか、本名は降谷零…で組織のバーボン…。






「あんた、忘れちゃってんの?昔から記憶がすぐになくなってたけどさ…」






うるさいぞ、そこ。
…まぁ、覚えられない記憶がたくさんあったし。今回もそれの類だったってことかなぁ。



心のどこかでは覚えてる的な?





『まぁいいかな。
ほら、大学着いた。受講量も一緒、授業も一緒だなんてもうやばくない?私達』





「腐れ縁が過ぎてる」





爆笑しながら大学の階段を上っていると、通り過ぎた人をまたもや引き止めてしまった。

染めた少し暗いベージュピンクのような髪色に、眼鏡。




誰だろう。この人を知ってる気がする。
実際はこの人じゃなくて、とある人なんだけど。






「ちょっと、次はオキスバって言いたいの?ナンパなんていいから早く行くよ」






オキスバ?…沖矢、昴…?





『あは、ごめん……本当に私どうしちゃったんだろ』





「なんか知らないけど、Aいっつも叫んでたよね。…確か、


付き合うなら沖矢昴、拝むならジン!って……っはえ?!な、何泣いてんの?!」





ん?
自分の頬を触ってみると、本当に濡れていた。


なんで、ほんとに自分どうしたの。





『あはは、ごめ、……良く、分からなくって、』





漫画のキャラクターの名前だけで泣くとか、どんなキチガイ女だよ。
そう思うけど止まらなくって、階段に座り込むようにしゃがんでしまった。





「……よしよし」





なんて、頭を撫でられる。やめてよ、私は小学生じゃない。

そう思ったけど、私よりも小さい茜の手が私の荒んだ心を優しく撫でてくれるみたいでもっと泣きたくなった。





「っわ!やばいやばいよA!!時間!!」






『え?うわっやば!!走ろ、茜!』






「言われなくてもっ!」






茜、いやちょっと待ってくれよ。
そんな、手なんか握って走らなくていいのに。




茜は足がとても早い。運動人間だから。
そんな人間に私がついてこれると思うか?無理だ、流石に。

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ccndayo(プロフ) - はあ。。素敵すぎました。途中で涙が笑 (2021年1月6日 2時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
れいすみす(プロフ) - 幸せでした…尊いをありがとうございます…しゅき… (2020年5月26日 19時) (レス) id: 993cffbbce (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 涙がボロボロと、止まらなかったです…凄く良い作品、ありがとうございました…( ;∀;) (2020年5月4日 10時) (レス) id: c930be9ed1 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年2月12日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)mこれからも素敵なお話を作ってください!ジン様好き〜〜〜! (2019年11月23日 0時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あると | 作成日時:2019年6月25日 2時

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