-イナGO- 私は小さな猫を愛した。 -狩屋マサキ-

説得タイム ページ1

Aさんに【解決します！】宣言をして、はや数分。






緑川さんの静止を振り切って、ヒロトさんの部屋まで来た。





ドアノブに手をかけ、少し強めにノックを鳴らす。









一回、二回、三回。無機質な短調の音が響くと、シリンダーがガチャリと回った。

鍵を掛けてまで閉じこもってたのか...どんだけ拗ねてるんだよ...




そーっとドアを引いて中に入ると、想像通りヒロトさんがデスクで仕事をしていた。







...めっちゃ目赤いけど大丈夫かあの人！やっぱり兄弟そろって行動が同じじゃねーか！


「ヒロトさん、拗ねてないでAさんに謝ってくださいよ」

「俺は何も間違ったこと言ってない」






意地はりやがって！声まで震えてるのバレバレだっつーの！

「間違ってなきゃ何でも言っていいんですか！」

「...関係ない」






まだ言うかこの野郎。

仕方ない、という念も込めて一度深呼吸。

一撃必殺は避けられたらおしまいだ。だから思いっきり命中率を上げる。

絶対口が裂けてでも言わせてやるからな...


「Aさん、ヒロトさんと久しぶりに話せると思って喜んでたみたいですよ」

「...」

「怒られて泣いてるんじゃなくて、離れていくのが怖くて泣いてるし...」

「... ...」

「Aさんは仲直りしたいって言ってるんですけどね...」

「... ... ...」

おお、面白いくらい顔が焦ってる。こりゃすごい。

大きな事件の犯人に証拠を当てつけていくように、ヒロトさんに事情を話すと

手も止まりがちになって顔を青くしていった。

何だやっぱり気にしてたのか。





「Aさん、ヒロトさんに会いたくて泣いてますよ。」

「...！」






...今までとは明らかに違う反応。わかり易すぎだろこの人。

数秒プルプルと震えた後、がたんっ、と大きな音を立てて立ち上がり












「... ... ...謝ればいいんだろ」



と、涙目＋しかめた顔で聞いてくるので

「仲直りもですよ。」

というと、不機嫌そうに引き出しをこじ開け、

手に何か小さな小袋をもって退室して階段を下りていった。






案外ヒロトさん、ちょろいな。













十分近く経った後、Aさんの部屋に戻ると

満面の笑みと綺麗なネックレスを輝かせるAさん。

事情を聞くと[仲直り出来た上にお土産を貰った]とご機嫌。



ヒロトさんは顔を真っ赤にして部屋へ逃げ帰ったとのこと。

...一件落着、だな

おはよう→

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