どうしたい？ ページ11
食事の後、部屋に入ってみるとAさんは考え込むように横になっていた。
...手術のことで悩んでいるのだろうか
「...Aさん、大丈夫ですか？」
「...ああ、マサキ君。ごめんね、少し考え事していたんだ」
いつもとは違う、重くて苦しそうな表情。
その顔を見せたくないのか、はたまた考え事が大きいせいか、寝返りをうって背を見せる。
きっとヒロトさんから手術のことを聞いたんだ。
「あのさ」
短く、それでいて浅く俺に問いかける。その声はどこか震えていて。
「私、手術受けたいんだ」
表情が見えないからわからないけど...きっと覚悟してる。
それは勿論、今までの医者より風丸さんの方が色んな信頼が寄せられると思う。けど...
もし風丸さんがミスなくこなしても、沢山の問題をかわし切れるとは俺も言えない。
「もしね、私の体力が持たなかったらどうしようって。
...一郎太が私を死に導いた、なんて重荷を背負って欲しくない。
きっと術中のミスの所為でなくても、とても辛いと思う...」
自分が消えてしまうことより、消えた後のことを考えている。
大切な人が苦しんでしまうくらいなら、と。
...自分のことより、誰かを大切にする。
「...風丸さんがもし、成功させて病気が治ったら？」
その問い掛けに、Aさんは数十秒の沈黙
一度寝返りを打つ。不安そうな表情ではあるが、まっすぐ俺を見た
「...ちゃんと、生きてみたい」
至極当然のようだが、俺には強く、鮮明に伝わってきた
そうだ。Aさんは生きていたいから、手術を受けたいんだ
それなら俺だって、手術を受けてほしい。幸せになってほしい
... ... ...でも、それは同時に...
「...Aさん、大丈夫です。手術は絶対成功します。」
「...そう、祈っててくれる？」
「当たり前じゃないですか、だって貴方は...」
【俺の××××な人。】
「...家族なんですから。」
「...ありがとう、私頑張って手術乗り越えるよ！」
そういって、いつものように溢れんばかりの笑顔を見せる。
嗚呼、痛い痛い痛い。
俺も手術してもらおうかな。
このうるさい心臓を抉り出して引き裂いて欲しいんだ。
きっと鮮血にありふれた真っ赤な色だ。綺麗なうちに消して欲しい。
こんな弱い心臓さえなければ、こんなに胸が痛むことはないのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜月桜 - な、泣ける。・゜・(ノД`)・゜・。 小説でこんなに感動したことないです(>_<) (2017年3月29日 20時) (
レス) id: 889de71093 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» こちらこそよろしくお願いします！よろしかったら他作品もよろしくお願い致します。 (2015年1月3日 20時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - よろしくお願いします! 更新頑張ってください!! (2015年1月3日 16時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» コメントありがとうございます！もうすぐラストなので、この雰囲気を保ちつつ納得がいくエンドをかけるよう頑張りたいです。更新も張り切りますので今後もよろしくお願い致します。 (2015年1月2日 15時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - すごく良かったです!読んでるとき涙がでてきてもう大変でした笑 更新待ってます＾＾ (2015年1月2日 15時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2014年9月20日 20時
