内心同心 ページ10
「...ごめん、相談する相手が違うのはわかってるんだけど」
「ああ、いえ、まぁ、聞かしてもらって助かってます...」
内心、冷や汗が止まらないのだが。
それくらい俺の中で【手術】という言葉がリピートされている。
酷く胸が焼ける。それ以上にズキズキと痛み出して、辛い。
「えっと...それって、俺に決定権あるんですか？」
「いや、姉さんにも相談する。でも狩屋にも聞いておいて欲しかった」
「...はぁ...」
ありがた迷惑、っていう言葉さえ鬱陶しく感じるほど余裕がなかった。
俺の勝手な判断でAさんにメスが入ってしまうかもしれない。
そう思うと適当に返すどころが、話を聞いてしまったことさえ億劫になる
.
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.+++風丸side
「... ... ...」
少し冷たい受話器が、手のひらから逃げて床に落ちた。
ガタン、と重い音を鳴らすものの壊れることはなく。
確証なんてなかった。
確かに同じ病気の患者に手術は行った。だけどそれだけで。
どれだけ俺の指先が鮮鋭になったとしても、心が追いつかない。
... ... ...つまるところ、怯えているわけだ。
後悔からか、自分でも驚くくらい鈍く重いため息が口から溢れる
【...何でそんな責任のない言葉、言えるの。
医者である君にとっちゃ患者かもしれないけど、俺にとってはたった一人の家族なんだよ...！】
辛そうなヒロトの声が鮮明に思い出せる。
...ああ、お前にとってAは大切な、たった一人の妹であり家族だろう
でも俺にとっては、患者でありながら生涯のうちで最愛の人なんだ
俺の指先一つ捻り間違えるだけで、簡単にAは息絶えてしまうだろう
助けられなくても、他人がそうさせないだけ嬉しい。俺ができたら尚更のことだ、と
違う解釈だけが脳裏を切って抉って、開いていく。
なんて汚い妄想だろうか。
「...本当に辛いのは、お前でも俺でもないのかもな」
返事のない受話器は、ひたすらに黙っていた
鉛を飲んだように重い頭を上げると、赤い丸の付いたカレンダーが風に揺れている
あの日までに決心をつけなければ。
あの日までにAを×すつもりでいなければ、メスは握れない。
何の為に5年以上医学を学んできたんだ。
重い腰をあげ、受話器を戻して白衣を着なおす。
...どんな形でもいい、Aを幸せに導いてみせる。
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夜月桜 - な、泣ける。・゜・(ノД`)・゜・。 小説でこんなに感動したことないです(>_<) (2017年3月29日 20時) (
レス) id: 889de71093 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» こちらこそよろしくお願いします！よろしかったら他作品もよろしくお願い致します。 (2015年1月3日 20時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - よろしくお願いします! 更新頑張ってください!! (2015年1月3日 16時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» コメントありがとうございます！もうすぐラストなので、この雰囲気を保ちつつ納得がいくエンドをかけるよう頑張りたいです。更新も張り切りますので今後もよろしくお願い致します。 (2015年1月2日 15時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - すごく良かったです!読んでるとき涙がでてきてもう大変でした笑 更新待ってます＾＾ (2015年1月2日 15時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2014年9月20日 20時
