思い出のクッキー 〜4〜 ページ7
翌朝。
さすがに今日はフロイドもAも休みをもらった。
「うーん…。筋…肉…痛〜…」
ベッドの中で寝返りしようとしたAは、自分がかなりの筋肉痛な事に気付いた。
〜昨日あんな重たいドレスを長い時間着てたから…〜
ふと自分の腕を見た。
〜それだけじゃ…ない…か…〜
アザがいくつも出来ていた。
一応足も見てみる。
「うわぁー…。思いっきり…指跡ついてる…」
フロイドに強く握られて、太ももには指跡のアザが出来ていた。
左手を見る。
〜ウツボの結婚指輪…〜
横で眠るフロイドの左手も見る。
「うふふ…。お揃い…」
そう言えば左肩がヒリヒリする。
自分の見える範囲で肩を見る。
〜噛まれてる…。昨日の夜…、今までで一番激しかったかな…〜
Aはフロイドにしがみつき、また目を閉じた。
「ん……」
「おはよ、A」
「フロイド君…。おはよう…」
次に目を覚ますとフロイドが起きていた。
部屋にはテレビの音が聞こえる。
「テレビ観てたの?」
「うん。朝のワイドショー。やっぱ昨日の結婚式やってる〜。結婚式徹底解剖〜!だってさぁ。何を解剖するんだよ」
「プレスから多少の正式発表したんでしょ?」
「うん。写真とか、クッキーのエピソードとか」
「そっか…。クッキーのエピソードも…」
「うん。オレにとったら、自慢だよ」
「うふふ…。嬉しい…」
「今はアズールんとこの料理やってるよ」
Aも少し身体を持ち上げてテレビを見た。
「昨日の料理…」
「美味しかったね」
「うん…」
『ここで披露宴をした人しか食べる事が出来ない特別な料理と言う事で、皆さんもその味、気になりますよねぇ?そこでっ、私たち取材陣はモストロ・ラウンジさんにお願いして何とか一口でも食べさせてくれないかと交渉したのですがっ!……やはりダメでしたぁ…』
『なんだぁー。期待させておいてそのオチですかぁ?』
分かりきった面白くも何とも無いやり取りがスタジオで繰り広げられていた。
『Aさんの勤める会社にも社食を食べさせて欲しいともう一度お願いしたのですが、そちらもやはりNGと言う事でぇ…』
『いやぁー。徹底してますねぇ』
「これで何が結婚式徹底解剖!だよなぁ。何も解剖されてねぇじゃん」
『食べる事が出来ないのならせめてその感想だけでもっ!と、言う事でぇ、昨日の披露宴に出席したあの、あのですよ?あのっ、大手企業の社長さんと、電話が繋がっているんですーっ!』
「くだらねぇ…」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時