犯人探し 〜7〜 ページ33
「あの…ニコルさん…。もし良かったらなんですけど…この後、夕飯でも一緒に食べませんか?」
「俺と?」
「はい…。最近…なんか…ニコルさん元気無くて、いつも僕を気にかけてくれてるニコルさんがそんなんだと、僕も…調子出ないって言うか…」
「ありがとう…サム…。じゃ、気晴らしに行こっか」
「はいっ!僕、良いお店知ってるんです」
「そうなの?」
「その店でも良いですか?凄くオシャレで、美味しいレストランなんです」
「そう…なんだ…。うん。分かった。そこにしよう」
サムはニコルと練習場を出た。
「おや。誰かと思えば、サムさんではありませんか」
「あっ、アズールさんっ!こんばんはっ」
ぎこちない挨拶をサムがする。
アズールは偶然を装い、車からサムに声を掛けた。
「おや、こちらは?」
「僕のチームの先輩です。アズールさん、ちょうど良かったっ…。あの…、今からアズールさんのお店に行こうかと思ってたところで…」
「こんな雨の中を?それは有難い。誰かさんのせいでウチの店は大打撃を受けてしまいました…。お客様が来てくださるのは大歓迎ですよ。どうぞ、僕の車でご案内しましょう」
「サム…。お店って…、モストロ・ラウンジ?」
「はいっ」
「サムもこのオーナーの知り合いなの?」
「知り合いと言うか、バイトしてた店で…」
「先輩さん。何か僕の店だと問題でも?」
「いえ…」
「もしかして、フロイドの幼馴染だからって、同情してくれてます?あんな酷いことされて、店はガラガラで…」
「あぁ…。まぁ…。可哀想だな…とは…」
「でしたら尚更いらしてくださいよ。本当にとても美味しいお食事を提供させて頂いているのですが、これが風評被害と言うものなのですね…。悪いようにはいたしません。体が冷えてしまわないうちに、さぁ。乗ってください」
「ニコルさんっ、せっかくですから乗せて行ってもらいましょうよ」
「……うん…」
アズールの運転手がわざわざ降りてドアを開けてくれた。
2人は急いで車に乗り込んだ。
「リムジン…」
ニコルが呟いた。
「ええ。ですが、この車とも、おさらばしなくてはいけなくなるかもしれません…。なにしろ、あの僕の幼馴染のフロイドがドーピングだなんて、許せない事をしでかしたせいでね…。先輩さんはどう思います?」
車が動き始めた。
「どうって…」
「フロイドのドーピングですよ。アイツはやってないって僕にも言っているんですがねぇ」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時