犯人探し 〜6〜 ページ32
サムは魔力の塊をメグにつけ、盗聴した会話を聞いてもらった。
「録音みたいな事も出来るのね…」
「はい…。記録魔法も掛けてあったので…」
「良く分からないけど、あなた、もしかしてフロイドより凄い魔法士なんじゃないの…?」
「それはないですっ…」
「それにしても…、凄い物を聞いちゃったわね…」
「キーズさんは事務所には?」
「何も。いつも通り過ごしてるわよ」
「そうですか…」
「2人の恋愛感情を掻き乱すことには少し申し訳無いと思うけど、これは放置出来ないわ。サム。この録音?記録?監督に聞いてもらうわよ。あなたの午後の練習は外してもらうよう私から監督に頼んでおくから、あなたはこのままここにいなさい」
「わかりました」
こうして、サムの勇気ある行動のお陰で事は一気に動き始めた。
程なくしてメグが監督を連れて会議室へやって来た。
サムはもう一度全て監督に説明し、盗聴の会話を聞いてもらった。
「今更なんですが…、盗聴魔法は…犯罪なんです…」
「でしょうね…」
「警察の捜査の一環なら…許される事もあるが…。これだけの凄い証拠があるというのに、真正面から動けないのが苦しいなぁ…」
「直接…ニコルさんに聞いてみるとかは…?」
「どうやって聞き出すのよ。フロイドのドーピング不正に関わった?って?動揺はするだろうけど、もしかしたらまだある何かしらの証拠まで消される危険があるわ」
「ですよね…」
「メグ。フロイド本人に相談してみるのはどうだ?」
「アイツにですかっ?キレてニコルをぶん殴って解雇で終わりですよ…」
「そこまで言うか…」
「アイツは気まぐれなところがあるの監督だって知ってますよね?」
「まぁなぁ…。だが、いずれはフロイドにも伝えなければならなくなる。早い方が良いと思うが?」
「でも、これだけでは直接不正に関与した魔法士にもたどり着けません…。…あ…。ちょっとまってください…。もしかしたら、上手くその魔法士まで見つけられる事が出来るかもしれませんっ」
メグは立ち上がった。
「監督っ!フロイドにはやはりまだ言わないでくださいっ」
そしてメグは会議室から出て行った。
それからまた一週間が経った。
今日は途中から雨が降り、練習は室内で行われた。
練習が終わり、更衣室ではサムも含め数人の選手が残っていた。
「じゃ、お疲れ〜」
「お疲れ様でしたっ」
キーズが先に更衣室を出る。
ニコルとは目を合わさなかった。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時