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苦悩 〜11〜 ページ25

『私ちょ〜ファンだったけどぉ、ドーピングとか最低なことする奴って知って、もうファン辞めましたぁ〜』

『ドーピングするとか、トップアスリートがすることじゃないですよね。リーチ選手には幻滅しました』

『あんなに人気あったから、このまま人気落ちてくの怖くなって何がなんでも優勝したかったんじゃない?』

ワイドショーでは街の人の声をまとめて流している。

明らかにアンチだ。

『中にはこんな人の意見も…』

ナレーションがわざとらしい言い方をする。

『私はリーチ選手がクリアだって信じてます。彼は本当にファンを大切にしてくれるし、練習も何度か見に行ったけど…、凄く真剣に取り組んでて…。そんな人がドーピングなんてあり得ないですっ』

たった一人だけ、そんな意見を流した。

フロイドの大会失格を受け、選手たちは皆繰り上がりの成績になり、優勝はオーリス選手となった。

『リーチ選手がしたことは許される事ではありません。せっかく彼に憧れてパルクールを始めたり、プロを目指そうとしている人たちが増えていたのに、それをこの様な形で裏切るとは…。とても残念です』

オーリス選手は会見でこう語った。



賢者の島に戻ると、フロイドは物凄いバッシングにあった。

「裏切り者っ!」

「弱虫っ」

「調子乗ってんじゃねぇぞっ」

「戻って来るなっ」

フロイドを信じているファンもたくさんいる。
しかし、メディアがバッシングを煽れば煽るほど、信じているファンの声が消されていく。

バッシングするのはファンではなく、輩がほとんどだ。



「レース後の検査はクリア。絶対おかしい」

フロイドの部屋にメグが来ていた。

「オレはやってねぇよ…」

「そんなの知ってるわよっ。それを証明するのに苦戦してるんじゃないっ」

「証明出来た奴なんて、今までいねぇじゃん…」

「アンタはそれで諦めるの?」

「世間がこんなにオレをバッシングしてんだぜ?どう戦えっつーんだよ…」

「フロイド君が諦めたら終わりだよ?私もメグさんも間違いだったって証明しようと頑張ってるのに」

「Aもごめんね。オレのせいで会社も行けなくなっちゃって…」

「会社は社長がフロイド君の無実を証明出来るよう力になってくれって休ませてくれてるだけっ!厄介払いされたんじゃないからねっ!」

「そっか…」

フロイドは深くため息をついた。

メグの電話が鳴る。

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時

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