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苦悩 〜4〜 ページ18

フロイドが更にきつく抱きしめて来た。

「キスしたい」

「ちょっとだよ。ご飯まだなんだから」

「分かってるよぉ。食べたらいっぱいしよ」

後ろからフロイドがAの顔の向きを上にする。
そして優しくキスをする。

大会が近付くと、フロイドのスキンシップがいつも以上に増える。

「もっと…」

「ダメっ」

「ケチぃっ」

「後でね」

「キスだけじゃイヤだからね〜。いっぱい抱くよ〜」

「明日も練習ハードなんでしょ?」

「Aを抱いた日の方が調子出るの〜っ」

「フロイド君が大丈夫なら…」

「大丈夫〜っ」

AはAで家でのフロイドの体調面やメンタル面をフォローしなければいけない。
フロイドもそれは分かっている。

フロイドはコンロの火を止め、スープ鍋の蓋を開けた。
スープ皿を2つ出し、慣れた手付きでスープを皿に入れる。

2人で食事の準備をし、食べる。


そして、その日2人は熱い夜を過ごした。





大会まではフロイドの練習や調整は順調に進んで行った。

そして大会3日前。
薔薇の王国に向けてフロイドたちは飛行機で移動する。
去年より一日早い移動だ。

賢者の島の空港でも、薔薇の王国の空港でも、フロイドは絶大な人気を誇り、大勢のファンたちが集まり、声援を送られた。

「フロイドさん、凄い人気ですね…」

「ああなりたかったら、お前も死ぬほど練習するんだな」

フロイドより遥か後ろを歩くキーズが、新人のサムに答えた。

「サムはフロイドに目を留めてもらえたんだろ?凄いよなぁ」

「そんな…。僕は本当にラッキーだっただけです…」

「謙遜するなよ。既にサムは期待の新人ってトレーナーたちから有力視されてるんだからさ」

ニコルがサムの肩をポンと叩いた。

「僕なんかより…キーズさんやニコルさんの方が凄いですよ。僕もついていけるように頑張りますっ」

「とか言いながら、お前もフロイドみたいに俺たちの事なんかすぐに追い越して行くんだろ?あの、フロイド様の目に留まった期待の選手だもんな〜っ」

「キーズっ。新人をイジるのはやめろよっ」

「ニコルさん、大丈夫です。こうして可愛がってもらえて僕は嬉しいですよ」

「ケッ…。つまんねぇ奴っ」

キーズがボソッと呟いた。




フロイドたちは去年と同じホテルに宿泊する。
しかし去年より遥かに集まるファンの数が多い。
まだ大会前だと言うのにホテルの敷地の入口には、車が入れない程のファンが詰めかけていた。

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時

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