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見える生活 〜2〜 ページ22

テーブルまで歩き、通過する。
そのままキッチンにいるフロイドを後ろから抱きしめる。

「幸せ過ぎて…、どうかしちゃいそう…」

フロイドがAの手を優しく握る。

「うん。オレもだよ」

2人はそのまましばらく動かなかった。

「信じられない…。フロイド先輩、また目が見えるようになったんですよね…」

「うん。ジェイドの目が嫁いできてくれたからね〜」

「うふふ…。お嫁さん?」

「妬いてんの?」

「はい」

「オレのお嫁さんになりたい?」

「なれたら…良いな…」

「うん…」

フロイドがクルッと向きを変え、Aと向き合った。
そしてAの頭を胸に抱き寄せる。

「まだまだ先になっちゃうけどぉ、いつか、そういう日、来れるようにオレ頑張るから…」

「私も…、頑張ります」

「うん。カフェオレ、飲も」

「はいっ」

フロイドがマグカップを持ち、テーブルに置く。

「キッチン、汚してないでしょ?」

「え?」

「目が見えなかった時さ、作業台にお湯とかコーヒーとかこぼしまくってたからさ。片付け、ありがとね」

「知ってたんですか?」

「何となくね」

フロイドがカフェオレを飲む。

「メガネ曇り過ぎ〜…」

「うふふっ……」

「見えねぇよ…」

フロイドはメガネを外した。

「メガネしないでも、飲めるんですか?」

「うん。これくらいの距離ならね。でも、Aの顔が良く見えないよぉ」

「それでも良いです。フロイド先輩の目が見えてるのは確かなんですから」

「まぁね」

「ジェイド先輩みたいに、義眼の方、眼帯しないの?」

「眼帯してメガネしてって、ダサくね?それにさぁ。メガネだけでも顔の周りが鬱陶しいんだよねぇ。そこに眼帯までつけたらウザすぎだよ〜」

「そっかぁ。ジェイド先輩はメガネしてないですからね」

「うん。しかも、『フロイド、僕の眼帯、とても似合うでしょう?カッコイイと思いませんか?』とか言ってるしぃ〜」

フロイドがジェイドのモノマネをした。

「さすが双子ですっ。そっくり…」

「別に今更、義眼を隠す必要もないでしょ?今まで両目が義眼で生活してたんだからさぁ」

「そうですね。でも、フロイド先輩の眼帯姿も、見てみたいな…」

「オレはいーの」

「分かりました」

Aはニコニコしてカフェオレを飲んだ。

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月6日 21時

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