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二人の時間 〜4〜 ページ42

「人間で言ったら、泳いだ事がない人に、いきなり海で泳げって言ってるようなものですか?」

「近いかもねぇ。でも、オレ、陸好きだよ。小エビちゃんとも出会えたし」

「はい…」

「オレの人魚姿、見たいんでしょ?」

「はいっ!」

「キスが上手になったらぁ、見せてあげる」

「な…なんですか、それ…」

「それくらいの価値があるってこと」

「どっちがですか?」

「両方だよぉ…」

「キスも…人魚も…?」

「うん」

「頑張ります…」

「大丈夫。オレが教えるんだから」

「はい…」

「そろそろ、生地出す?」

「そうですね。フロイド先輩が綺麗に伸ばしてくれたから、カットするの楽そう」

「生地のカットも、オレやってあげるね」

フロイドが冷蔵庫から生地を出し、長方形に綺麗にカットしていく。
それをAが天板に並べる。

「本当に息ピッタリ〜。あははっ」

「本当ですねっ。凄く楽しいです」

「これからはさ、色々な料理、ここで作ってこーよ」

「気分で作らない日もありますか?」

「うん。その時は〜、食堂」

「分かりましたっ」

「食材はサムの店で買えるし、そんなに不便はしないから大丈夫だよ」

「うふふ。これからが、もっと楽しみになりました!」

「うん。あ、予熱おっけーみたいだよ」

フロイドがオーブンに天板を入れる。

「15分くらい?」

「そうですね。一応15分にしましょうか」

「おっけー」

フロイドがタイマーをセットする。

「15分、ヒマだよ?」

「そうですね…」

「キス、練習する?」

「練習…?」

「うん。オレが小エビちゃんにキスするから、真似してみてよ」

「えっ…」

「怖い?怖かったら無理にしないからね…」

「いえ…。怖いんじゃなくて…緊張…しちゃいます…」

「ふふーん。カワイイ…」

フロイドがそのまま自然とキスしてきた。

「小エビちゃん。一回、深呼吸して…」

「はっ…はい…」

「鼻からゆっくり息吸って…」

フロイドに言われた通りにする。

「今度は口からもっとゆっくり吐いて…」

Aがもう少しで息を吐き終わる時にフロイドがまたキスをしてきた。
Aの唇を咥えるように何度もキスをする。

「ほら…。真似してみてよ…。オレの唇、咥えてごらん…」

「あの…。んっ……」

フロイドが待ちきれないかのように、またAの唇を咥えてくる。

「やってみて…」

Aがぎこちなくフロイドにキスをする。
フロイドは黙ってそれを受け入れる。

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時

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