親友の秘密を知ってしまった。

７.妖艶な笑み ページ9

･





何かあったらいつでも駆けつけられるように
グレースの部屋には入らず、
ドアに寄りかかって彼女を待っていた





数分後。




「＿＿お待たせ」



『…！』





手を振りながら歩いてきたのはグレース。




キョロキョロと周りを見回した私は、彼女目掛けて勢いよく走り出した。





『っグレース！』



「…!?」





私が何をしようとしているのかを悟ったのか
彼女はすぐに足を止めた。



…そう、私は助走をつけて
彼女に抱きつこうとしていたのだ。




……が。





ぽふっ、なんて可愛い効果音じゃなく

もはや[ドスッ]と言った方がいいくらいの勢いだった。





まずい


勢いが良すぎて、グレースが倒れ……






「どうしたの？A」



『･･･。』





(あれ)





私を普通に抱きとめて、普通に見下ろしてくる…



…彼女は…
細い割には意外に体幹が強いらしい…。





『えっと…大丈夫だった？』



ススス…と離れた私はグレースを見上げる。





「……。

えぇ
私はね。」




間があったのは何なのだろう。





『…そ、それならよかった！』




“私は”って…


まぁ、深い意味はないか。





『あ…もうこんな時間。』




スマホを確認すると、時刻は22時手前だった。


時間が経つのはあっという間…

というより、
グレースと過ごす時間があっという間なのだ。






『そろそろ戻るね
遅くまでごめんね、グレース』



「…、」




そう伝えると、顎に手を添え何かを考えるような仕草をしたグレース。


不思議に思いながらも、私は来た道を戻ろうとした。





「…泊まる？」



『…え？』



「ここまで来させちゃったし」





自室のドアを開け、微笑んだグレース。





「それにこの廊下…貴方苦手でしょ」



『うっ』




22時を過ぎると廊下の照明が自動消灯する。


今は22時手前だけど、
歩いてる途中に突然消えるってなると……





ぶるっと肩を震わせた。






『お言葉に甘えます』




「……ふふ」






そこらの男よりも紳士なグレースは
私を先に部屋に入らせてくれた。




「貴方が夕方に訪ねてきた時よりかは
部屋、綺麗になってると思うわ」




“ちょっと片付けたのよ”と言って部屋の奥に進んでいく。



いや…元々綺麗なんだよな、部屋
片付けるところがない。









「さて…何する？A」








ベッドに足を組んで座るグレースは


いつもより妖艶な雰囲気を纏っていた。













･

８.一緒に入りたい→←６.お泊まりしたい

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す