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34.あなたの名前 ページ36







《共同スペースしか見れないのが残念だけど》



“貴方の仕事ぶりを見られると思ったのに”






そう言う相手の女性の声は
本当にそう思っていないような無機質な感じに聞こえて

ちょっと怖かった。






「相変わらず趣味悪ぃな」




彼は“ピンガ”と呼ばれていた。


やっぱりスマホの内容通りこの人の名前はピンガで、
正体を隠してる何者かってこと。





「…じゃあな」



しばらく話し込んだのち、彼は電話を切った。







『・・・、』




何て声をかけたらいいのか分からない。





「良かったな
廊下に出なくて」



『…どうして?』



「今の相手はこの部屋を知ってる

あのタイミングで出て行くと
お前は絶対に目を付けられてた」



『…』





相手の女の人は
なんでグレースの部屋のこと知ってるんだろう







『貴方は…何者なの』




彼の様子を見る限り、グレースではなく
この私がスマホを盗み見てた事に絶対に気付いてる。





「いずれ分かる」
「それまでの秘密だ」






そんなんじゃ納得いかないけど


それまでの秘密の関係って、
それもそれで良いかもしれない。





『分かった
秘密にしとく』





山田っていう人の始末が何を意味するのか
この人の“正体”に関係しているものなのか


全くの謎に包まれてるこの人だけど、


それよりも、
この人に対する私の気持ちの方が強かった。








「お前はなんでそんなにグレースが好きだ?」




『え?』






突然尋ねられた。


毎度尋ねられるけど、なんの確認なのこれ






『綺麗でカッコイイところ
ずっと一緒に居たいくらい、好き』





今ではグレースを思い浮かべる時、
何故かこの人の姿まで思い浮かべてしまう。




だから今の私の発した言葉は
グレースに対してか、それとも……





「ふ……忘れるなよ」




『…うん』





相変わらず、綺麗な笑顔だなぁ…

答える度に毎回言われるその言葉ももう聞き慣れたかも。







「そろそろグレースを呼んでくるかね」




『…ピンガさん、』




「!」







初めて名前を呼んだ。

裾を掴んで引き止めると
ハッとしたように振り返った彼。





「…なんだ」




『今の人って、彼女?』




「……あ?」





ポカン、とした表情のあと





「仕事仲間だ」




と言って笑った。








彼はきっと、



ここの職員じゃないんだ











私、何となく分かってたのかもしれない。
この人の正体、ってやつを






35.彼女の安心感→←33.電話の相手



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ルビー - 缶コーヒーさん昨日のコナン試写会いきました?!私はいったよ!続き見たくて待ち遠しい! (9月7日 15時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな - 缶コーヒーさんみんなにコメント返してくれているなんてすごい優しいですね!続編おめでとうございます🎉 (8月15日 18時) (レス) id: b9819e7b60 (このIDを非表示/違反報告)
缶コーヒー(プロフ) - 甘味さん» そ、そんなにっ……!!(´;ω;`)ありがたきお言葉です、、、更新頑張れますありがとうございます:( ;´꒳`;): (8月15日 17時) (レス) id: f4edea90ba (このIDを非表示/違反報告)
甘味(プロフ) - 缶コーヒーさんが作品を作ってくれて良かったです(泣) (8月15日 17時) (レス) id: 3db5f1fed5 (このIDを非表示/違反報告)
甘味(プロフ) - 一日の癒やしすぎます!(泣) (8月15日 17時) (レス) id: 3db5f1fed5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:缶コーヒー | 作成日時:2023年7月18日 20時

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