親友の秘密を知ってしまった。

２８.トラブル ページ30

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「彼女の部屋にはいなかった！ここにいるはずだろ」




「なに貴方、また女性用フロアに行ったの？
前は見過ごしてあげてたけど、2度目は許せないわ」




『…。』





な、なんか揉めてる？





『ぐ、グレー…

！』





布団からノソノソと出てきた私は
扉の方を除き見ようとすると……





私の気配に気が付いたグレースは振り返って、


ドアの向こうからは死角になる角度で、
真剣な顔で口元に人差し指を当て


じっとこちらを見ている。






『…？』





(声は出すなってこと…？)







「おい…

いい加減にしろよグレース、この女狐が…」




「あなたこそ

ヘタレな坊ちゃん」






(え)





ちょっと。


ますます不穏な空気になってきてない…？







「この…ッ」






(まずい…！)







『ッ待って！！』








今にも殴りかかろうとする山田くんの姿が見えた瞬間、
私の体が咄嗟に動いて




山田くんの拳から庇うように
グレースの体を抱きしめていた。





ギュッと強く目を瞑り、襲い来る痛みを覚悟する。









「！？水瀬さ…」



「チッ」






グレースの舌打ちが聞こえた次の瞬間、




私の体がすごい力で引っ張られて






ﾀﾞﾝｯ!!




と大きな音が響いた。







『…ｯｯ』







…シーン。





『…っ？』





私の体は何ともなくて、


グレースのシャンプーの香りに包まれている。







そっと目を開けると…





『ぐ、ぐれーす…。』





彼女の姿が見え、ほっとしたのも束の間






『…って、近っ！』



私のすぐ頭上にグレースの整った顔がある。





「あ？」





しかもガラ悪っ。



どっかのご兄弟様みたい。




そんな物騒な雰囲気を纏っているグレースが
私を片手で抱き寄せていた。


…強い力で。






顔面がグレースの肩あたりに押し付けられていて
少し息が苦しい。







「…よかったな山田

Aがしゃしゃり出て来なけりゃお前
どうなってたかな」




『んん…？』





しゃ、しゃしゃるとは失礼な。



…グレース、口調がまるで男みたい。




顔だけ振り向かせて様子を窺うと、
グレースの手が山田くんの頭を壁に押え付けていて


山田くんは苦しそうな顔をしながらも
横目でこちらを見ている。






『……グレース…？』







口調といい、行動といい



今日、野蛮じゃない…？









(なんか、かっこいい…)






って、こんな時に何考えてんだか。









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