２６.得体の知れない ページ28
･
『…ん？』
「今度は何だよ」
彼の手元にあるの、よく見ると…
『それ、グレースもよく飲んでる』
透明なお酒。
私も寝ぼけてコップ一杯飲んじゃったんだっけ。
「気になるか？」
『…』
彼がグラスを持ち上げると溶けた氷が動いて
カラン，と小さく音を立てた。
グレースも飲んでいて、この人も飲んでるお酒。
……気にならないわけが無い。
『うん、気になる』
食い気味に応える私に目を丸くさせた彼。
『ちょっとだけ飲んでみたい』
「…お前には無理だ
弱ぇんだし」
“無理すんな” と
おでこをグイグイ押し返されてしまった。
…でも待って。
私、この人の前でお酒を飲んだことないのに
なんで弱いって分かるんだろう。
『私がお酒弱いこと、なんで知ってるの？』
「…、あ」
一瞬目を逸らした彼は、
また私に向き直ると薄ら笑みを浮かべて
「何でだろうな」
……と、またはぐらかした。
グレースから聞いてるのかも
あんまり深くは聞かないことにしよう。
『はーぁ…グレースが戻るまで、
お布団でグレースの香りでも楽しんでるかね』
思いっきりベッドにダイブすると
グレースの香りに包まれる。
お風呂上がりだからか
急に睡魔が襲ってきて、瞼が段々閉じていく…
「キモいこと言ってんじゃねぇよ」
随分と辛辣な返事が返ってきたけど気にしない。
「つーかお前、」
『ぐれーす…』
「…オイ」
彼が何か言ってるけど、気にもせず
布団を頭まで被って丸まっていると。
[＿ﾊﾞｻｯ!]
『…！？』
急に布団を捲られた。
顔を上に向けると、ご兄弟様がベッドの端の方に立ち
私を見下ろしている。
「得体の知れない男が部屋にいるときは
まず逃げるのが普通だが…」
『…へ、』
そう言うと
いつかのように私の首に手を添えた彼。
……これは、癖にでもなってるのだろうか。
そして一瞬、
彼の浮かべる表情がグレースの面影と重なった。
…今の彼の表情はまるで
グレースが私に説教している時のようで。
「…A、」
『…！』
彼の色っぽい声が頭に響く。
…何で私の名前知って…？
すると、その時。
＿＿ﾄﾞﾝﾄﾞﾝｯ！
『ッ！？』
「…」
部屋の扉が強めにノックされた。
『グレースかな？』
「…、」
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 586人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルビー - 缶コーヒーさん昨日のコナン試写会いきました？！私はいったよ！続き見たくて待ち遠しい！ (9月7日 15時) (
レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな - 缶コーヒーさんみんなにコメント返してくれているなんてすごい優しいですね！続編おめでとうございます🎉 (8月15日 18時) (レス) id: b9819e7b60 (このIDを非表示/違反報告)
缶コーヒー(プロフ) - 甘味さん» そ、そんなにっ……！！(´；ω；｀)ありがたきお言葉です、、、更新頑張れますありがとうございます:( ;´꒳`;): (8月15日 17時) (レス) id: f4edea90ba (このIDを非表示/違反報告)
甘味(プロフ) - 缶コーヒーさんが作品を作ってくれて良かったです（泣） (8月15日 17時) (レス) id: 3db5f1fed5 (このIDを非表示/違反報告)
甘味(プロフ) - 一日の癒やしすぎます!（泣） (8月15日 17時) (レス) id: 3db5f1fed5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：缶コーヒー | 作成日時：2023年7月18日 20時
