親友の秘密を知ってしまった。

２３.口にできない ページ25

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「水瀬さん…彼って誰のこと？」



『えーっと、その…』





必死に言い訳を考えて目を泳がせる。




…ちょっとグレース、
笑ってないでこの空気何とかしようぜ。


可愛いから許すけど。






隠すような事でもないし、この際言っちゃえ。






『彼っていうのはね…実はグレースの＿＿』

「ん”ん”！」





“グレースのご兄弟様”


……と言おうとしたとき、
グレースが突然咳払いをし始めた。





『･･･？』



「私たち3人の秘密だもんね、A」





ニィ…と笑ったグレース。

それを見てハッとした私は慌てて口を閉じた。




『あ、そ、そうそう…！
3人の秘密だから、ごめんね山田くん』



「…」



『…山田くん？』





上手くごまかせてよかった、と山田くんに目を遣ると
彼はグレースの事を強く睨んでいて。



対するグレースは

余裕綽々とした笑みを山田くんに向けている。





なんでグレースを睨んでるの山田くん…





私も一緒になってグレースの横顔を眺めていると、
ふと“彼”の事を思い出した。


似てるから、どうしても影が重なって見えるのだ。





『そういえば、ご兄弟様って鍛えてたりする？』



「…え？どうして？」






…そう、私が思い出したのは

ご兄弟様と初めて顔を合わせたときのこと。






『いや…実はね。ご兄弟様、
今日みたいに黒服着てると細身に見えたんだけど

脱ぐと結構いい体つきだったのを思い出して…』




腹筋とか腕とか。





「！」



「ブッ」




『…？』




目を丸くさせたグレースと突然吹き出した山田くん。





「ちょ、水瀬さん…っ
脱ぐとってどういう事ですか？彼って…、まさか」



『え、…』





そんなに驚くようなこと言った…？私。



焦っていると、
グレースはついに声を上げて笑い始める。





「ははは…！」


「ちょっとグレースさん…何笑ってるんですか？」




山田くんも若干キレてるし。…何この状況。





「誰なんですか？…彼氏さん居たんですか」


「…」




『…えっ』





グレースと山田くんからの鋭い視線が同時に突き刺さる。





……何この気まずい状況。


どうしたらいいのか分からなくなって
あたふたと2人の様子を交互に見る。






『かれ…』





彼氏です、って答えたら

山田くんに変に期待させることも無くなって
楽になるんだろうけど…





『…ｯ』





頬が熱くなってしまって、
何故かなかなか言えなかった。






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