20.再開 ページ22
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……その日の仕事終わりのこと。
グレースはまだ仕事がありそうだったので
先に彼女の部屋にある荷物をまとめていた私。
カチャ…
と、静かに扉が開く音がした。
『あ、おかえりグレ…』
「…」
『ヒョッ!?』
「なんだその反応は」
ドアの閉まる音がして
扉がある廊下の奥から現れたのは
グレースではなく、まさかのご兄弟様だった。
…びっくりした。
この間のお風呂上がりと違って、長い髪を編み込み
後ろでお団子にしているみたい。
…そこに黒スーツ黒ワイシャツと来た。
どストライクすぎる
「何ジロジロ見てやがる」
『ごめんなさい』
睨まれてしまい慌てて目を逸らしたけど
逆になんか視線を感じるような…
「今日はここに泊まンねえのか」
『へっ!?』
なんで知ってるの!?
…と一瞬思ったけど
グレースから聞いてたのかもしれない。
『2日も泊まっちゃったし
そろそろ迷惑かなって』
「ふぅーん…」
短い返事の後、
向こうを向いてタバコに火をつけたご兄弟様。
へぇ…タバコ吸うのか
って、
『グレースの部屋だからだめです!』
「あ”?」
咄嗟に彼の手に持たれたタバコを取り上げてしまった。
……あ、やば。
そんな親しい間柄でもないのに出しゃばりすぎた?
いやいや、グレースの為だし。
取り上げたタバコを見つめながら
心の中で葛藤を続けていると。
「オイ、そこ持つな
火傷すんぞ」
『そんな事分かって……熱ッ!』
「…ほらな、言わんこっちゃねぇ」
笑いながら立ち上がった彼は
また私からタバコを奪い取ると
灰皿に押し付けた。
(…あ、吸わないんだ)
…まぁ私が取り上げたんだけど
ボーッと彼の様子を見ていると、突然手を掴まれた。
『!』
彼に手を掴まれたのは初めて会ったあの日ぶりだ。
…といっても
会ったのは今日でまだ2回目なわけだけど。
彼は私の手を引いて洗面所まで向かって歩いていく。
『な、なにを…』
「手。冷やせ」
『えぁ、はい…』
言われた通り、水道水で手を冷やす。
「この部屋、保冷剤が無くてな」
それも知ってる、けど。
グレースの部屋なのに
どうしてご兄弟様は自分の部屋みたいに言うんだろう
にしても、タバコ吸ってるのは萌えた…
なんてグレースにもこの人にも言えないや。
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ルビー - 缶コーヒーさん昨日のコナン試写会いきました?!私はいったよ!続き見たくて待ち遠しい! (9月7日 15時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな - 缶コーヒーさんみんなにコメント返してくれているなんてすごい優しいですね!続編おめでとうございます🎉 (8月15日 18時) (レス) id: b9819e7b60 (このIDを非表示/違反報告)
缶コーヒー(プロフ) - 甘味さん» そ、そんなにっ……!!(´;ω;`)ありがたきお言葉です、、、更新頑張れますありがとうございます:( ;´꒳`;): (8月15日 17時) (レス) id: f4edea90ba (このIDを非表示/違反報告)
甘味(プロフ) - 缶コーヒーさんが作品を作ってくれて良かったです(泣) (8月15日 17時) (レス) id: 3db5f1fed5 (このIDを非表示/違反報告)
甘味(プロフ) - 一日の癒やしすぎます!(泣) (8月15日 17時) (レス) id: 3db5f1fed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:缶コーヒー | 作成日時:2023年7月18日 20時