親友の秘密を知ってしまった。

１９.愛着 ページ21

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「……あ？」





コーヒーを持って部屋に戻ってきてみれば

メインルームには何故か山田がいて
Aに話しかけている光景が目に入った。





ザワッとした胸を無意識に抑えた。






＿＿“山田んとこに行ったら？”




昨日Aに言った言葉。





自分でそう言ったくせに





「はい、A
ミルクと砂糖入りコーヒーね」





気づいたら割り込むように
Aの前にコーヒーを置いていた。






…何してんだ、俺は







Aと目が合った瞬間我に返って、


適当に理由を付けてその場を離れる。







……つーか、山田ってやつ


昨日Aに断られたんじゃなかったか





なんて思いつつ、長い廊下を歩いていると




「…」




(…後ろ、誰か来てんな)





面倒くせぇ，




背後を気にしつつ、空になったカップを片手で潰し
ゴミ箱に捨てていたときの事。





「グレースさん」



「…」




案の定、山田がついてきていた。

決心したようなカオして。





「…何かしら」



「Aさんから聞いてると思いますけど」





…ふーん


名前呼びね






「俺、Aさんの事好きです」



「！」




…は、今更何言ってんだこいつ。





「振られましたけど、諦めませんから」




「……で？それをなんで私に？」





自分の手に力が入るのがわかった。


…この男のナメくさった目がイラついた。






「グレースさんは…Aさんとお付き合いされてるわけじゃありませんよね？」



「…」



「少なくとも彼女は…、いえ。

あんな風に頭を撫でたり、
他の日には抱きついたりしてる所を見ましたけど」





…こいつどんだけあいつの事見てんだよ





だんだんと腹が立っていく。






「女性同士とはいえ、
あんな風に触れ合うべきではないと思……」




限界が来た俺は
首だけを振り返らせて、



「じゃあ、」


…と、山田の言葉を遮るように睨みつけた。






グレースの姿だし怖くもなんともないんだろうが





「もたもたしてねーで、さっさと連れてけば？」



「…ｯ」





声はグレースのまま


唸るように呟く。





「突き放してもついてくるんだよ

…おかげで愛着が湧きそう」





グッ、と手を握りしめた山田を確認して



メインルームへと足を進める。






「それじゃ。
早くしてね、山田クン」





「…っ、」









……“愛着”ね








「…はっ」






何言ってんだか










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