17.夜道のお迎え ページ19
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−部屋を飛び出してからかなり時間が経った。
『…どうしよ』
いつも明るい時にしか通らない廊下。
暗いうちはいつもグレースについてきて貰ってたから…。
『……』
グレース…
冷静になってさっきの事を思い返すと
あの時のグレースの声はいつもより暗かった。
“秘密”は私のためだって言ってくれていた。
『…んがぁぁあ、馬鹿だ私』
何してんだ私、
多分、…いや絶対グレースを傷つけた。
真っ暗な廊下の角で頭を抱えながら蹲る。
「…水瀬さん?」
『……え?』
その時突然、
この場所では聞きなれない声がして
咄嗟に顔を上げた。
『…え、山田くん?』
スマホのライトを向けてきたのはまさかの山田くん。
今日、告白をお断りしたばかりで何か気まずい…。
というか、彼はどうして女性用の居住スペースに居るんだろう。
「どうしたの?こんなところで…」
『あーいや、…』
こっちのセリフね。
グレースの部屋を飛び出してきた、なんて言えないし
「どこかに行こうとしてた?」
『…そんなところ。』
何事も無かったかのように立ち上がった私は
とりあえず来た道を戻る事にした。
「ついて行こうか?」
『うーーん…』
彼をこれ以上このフロアに留まらせるのも気が引ける。
『いや、私は…』
1人で何とかなるだろうと、
山田くんの気遣いを断ろうとしたその時。
「__この子は私が連れてくわ」
『…ッ!?』
背後から突然グレースの声がした。
『ぐ、グレース…!?いつの間に、』
__全然気配がしなかった
グレースは驚いている私の両肩に手を置いて
そのまま後ろに引っ張ってくる。
『う、お…っ』
なんて力。
本当にグレース?と背後にいる人物を見上げてみるも
やっぱりグレースはグレースだった。
体幹もそうだったけど、
グレースって意外に力があるんだな…
「あ…そ、そう
なら大丈夫そうだね」
『…うん、ありがとね山田くん』
「うん、おやすみ
グレースさんも」
「…」
山田くんの挨拶には返事しないグレース。
彼が去っていったあと、
私はグレースに向かって勢いよく頭を下げた。
『さっきから本当にごめんなさいグレース!!』
「えぇ…!?」
長引く予感がして、部屋に戻ってからもう一度
しっかりグレースに謝ったのであった__。
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ルビー - 缶コーヒーさん昨日のコナン試写会いきました?!私はいったよ!続き見たくて待ち遠しい! (9月7日 15時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな - 缶コーヒーさんみんなにコメント返してくれているなんてすごい優しいですね!続編おめでとうございます🎉 (8月15日 18時) (レス) id: b9819e7b60 (このIDを非表示/違反報告)
缶コーヒー(プロフ) - 甘味さん» そ、そんなにっ……!!(´;ω;`)ありがたきお言葉です、、、更新頑張れますありがとうございます:( ;´꒳`;): (8月15日 17時) (レス) id: f4edea90ba (このIDを非表示/違反報告)
甘味(プロフ) - 缶コーヒーさんが作品を作ってくれて良かったです(泣) (8月15日 17時) (レス) id: 3db5f1fed5 (このIDを非表示/違反報告)
甘味(プロフ) - 一日の癒やしすぎます!(泣) (8月15日 17時) (レス) id: 3db5f1fed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:缶コーヒー | 作成日時:2023年7月18日 20時