親友の秘密を知ってしまった。２

８０.彼が怒る理由 ページ32

･






『もしかして、私がここに来た事…
怒ってる？』



「…あ？なんで」







＿＿「…,おいベルモット。今の声、まさかテメェ」

＿＿「あら怖い」






『…』





先程のベルモットさんとピンガさんの会話を思い出していた。



あの時の彼は、私の声を認識した途端、突然声色を変えてベルモットさんに威嚇していたから…






しばらく考え込んでいると、
鼻で少し笑った彼はベッドに寝そべる。






「別に、怒っちゃいねぇ
テメーにはな」




『…？私には？』




「おー」






え、ちょっと、腕怪我してるのに枕にしちゃダメでしょピンガさん。


痛くないのだろうか…







「自分の身に何か起こる前提でお前に携帯を預けた。
例えば俺がサツに捕まるとかな」



『…』



「それにお前とも完全に縁を切るつもりでいた」



『!?なっ…』








衝撃的な言葉に思わず顔を上げた。





…彼はいつもの調子で笑ってるけど
私は結構傷ついたので、ジトッと彼を睨めつける。






「そー怖い顔すんな、聞け

正味お前は組織に真っ先に消される立場にある
俺が行動不能になりゃ尚更だ」




『…え、』






行動不能ってのは色々あると思う



警察に捕まったり
今回は運良く命が助かったけど病院に拘束されたり

最悪は……。







「遅いかもしれねーけど、
俺はあのタイミングでお前を突き放すつもりだった」



『突き放す…』





突き放して、縁も切ろうと思ってた相手が会いに来たらそりゃ不快に思うだろう。






『ごめん…』




「……は？なんで謝んだよ」




『突き放そうとしてた相手が会いに来たら
誰だって嫌に決まってるし』




「…」





そう言って俯くと、

突然、無言だったピンガさんが上体を起こし
後ろ手でバランスをとった状態で
私をジッと見つめてきた。







「違ぇよ。不快だからじゃねぇ
お前が組織に目を付けられない為に考えてた事だ

……まぁ、時すでに遅しだがな」



『…！』






ハッ、と笑うとピンガさんは



「ベルモット！」



…と、ドアに向かって叫んだ。





「…なぁに？」



すると、ドア越しにすぐに返ってくる返事。





『!?』




もしかしてずっとそこに居たの！？






「そろそろコイツ連れて帰れ
組織の奴らも来るだろ」




「…、はいはい」






シッシッと手で払う仕草をしたピンガさん。










『…もうちょっと一緒に居ちゃだめ？』






「………あん？」



「プッ」








･

８１.訪ねてきた人物→←７９.奇跡

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す