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52.携帯の在り処 ページ4









「携帯を渡せ…念の為だ」



『!』






小太りの男が私の目の前まで来ると

キョロキョロと辺りを見回す。






「おい女、携帯はどこにやった?」




『』







ベルモットさん…


もしかして、こうなる事を予測して
意地悪して行った?





携帯……

私の胸の間にあるんだよね……







「なんだテメェ…だんまりかよ?」





ピンガさんの前だし、ただでさえ言いたくないのに


小太りの男の威圧感に気圧されて余計に言えない…






「オイ…!」




『…!』






小太りの男が私に手を伸ばしてきた、その時。






「ウォッカ」




「……あん?」






突然、

後ろに立っていたピンガさんが口を開いた。





なるほど、小太りの男はウォッカって言うのか…
そんな感じの名前のお酒があったような気がする。



お酒に詳しくないから分かんないけど。







「俺がやる。下がれ」




「!お前が…?
珍しい事もあるんだな…ピンガ」




「フン…」





サングラスを付けたまま、ウォッカさんとすれ違うようにして近づいてきたピンガさん。



私の前でしゃがみ込むと
じっと私の顔を見つめてくる。







「携帯は?」




『…』






ジワジワと頬が熱くなるのがわかる。






直美は緊張した面持ちで私のことを見つめていて、




「…?」



ピンガさんは不思議そうに眉を顰めた。







『あの、女の方…いませんか?誰でもいいので』




「…」






ピンガさんはその言葉で悟ってくれたのか、
ウォッカさんに向き直ると




「キールは今どうしてる?」



と尋ねた。







「キールは今手が離せねぇ」




「……ベルモットもいねぇしな…
じゃ、他に女は誰もいねぇな」








(ガーーン)






せめて手が離せる状態なら良かったのに。






「ウォッカ…コイツの携帯は俺が預かる
お前は戻ってろ」




「あぁ…頼んだぞ」







ウォッカさんはそれだけ言うと
部屋から立ち去っていった。






「で?どこだ」




『…っ』




「……言いたくねぇのか?」






直美が心配そうにこちらを見ている。






…答えなくてもピンガさんなら多分見逃してくれる。


だけどさっきのウォッカとかいう人に私の携帯の事を聞かれたら、きっとピンガさんは困る事になる。







『私の………胸の間にあります……』





「…」








とても小さな声だったけどはっきりと伝えた。
恥ずかしすぎて声が震えてしまった。










53.敵か味方か→←51.再会と新たな拉致被害者



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哀愁(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (5月7日 22時) (レス) @page33 id: 4b362b9d0f (このIDを非表示/違反報告)
MEIKA(プロフ) - 一気に読み終わるくらい素敵な作品でドキドキが止まりませんでした!!更新待ってます! (4月22日 5時) (レス) @page33 id: 1bb6835bc2 (このIDを非表示/違反報告)
- めっちゃ好きです!更新待ってます! (2月24日 18時) (レス) @page33 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - 更新楽しみにしてます……!!この作品ばり好きすぎてほんとに一生リピってます( ߹ㅁ߹)頑張ってください! (1月14日 23時) (レス) @page33 id: 76976485fa (このIDを非表示/違反報告)
いぎ - 更新楽しみにしています!大好きな作品なので待ってます! (12月5日 22時) (レス) id: 0fab079a1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:缶コーヒー | 作成日時:2023年8月15日 17時

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