78.ある病院 ページ30
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「…」
『…?』
それからしばらくして辿り着いた先は
都内にある大きな病院だった。
真っ黒なライダースーツの胸元のファスナーを下げたベルモットさんは一瞬私に目を遣ると、
ニコッと笑って院内へと向かっていってしまう。
『…えっ、と』
ついて行ってもいいのだろうか…
というかなんで病院?
オロオロしている私を見てか、
「あなたもよ」
と私を呼んだベルモットさん。
あの人…セクシーすぎて
同性だけど目のやり場にちょっと困る…
・
「_ここに用があってね」
『(個室?)』
院内最上階の一番端の部屋。
個室なんだけど、利用者の名前が書いてない。
空き部屋か何かだろうか…
_ガラッ!
『!』
するとその時、
タイミングよく個室から医師が出てきた。
中年の男の先生で、ベルモットさんと目を合わせると
頭を下げてそそくさと行ってしまった。
てことは、この個室に利用者が居るってこと?
『…この部屋はなんなんですか?』
コソッと耳打ちすると、
ベルモットさんはまたニヤリと笑う。
「この病院にはね
うちの組織が贔屓にしてるdoctorがいるのよ」
“…まぁ、さっきの医者がそうなんだけど”
『!』
だからさっきのお医者さん、あんな意味深な視線をベルモットさんに送ってたのか。
「大怪我を負った場合
あの男に治療してもらってる」
『!』
そう話しながら、
ベルモットさんは勢いよく扉を横に引いた。
そう、遠慮なくとはまさにこの事だ。
『ちょ…患者さんがいるんじゃ、』
静かにしなくて大丈夫なの…?と
彼女の乱暴な行動に少し心配になる。
「あの男に遠慮なんて要らないわ」
『あの男……?』
思わず、個室の奥に目を向けた。
……個室なのにカーテンが閉まってる。
「起きてるでしょ」
『!?』
ベルモットさん…ほんと容赦ないな
寝てるかもしれないのに、
カーテンに向かって話しかけてる。
__「ベルモットか」
『……、ん?』
聞こえてきたその声には聞き覚えがあった。
「静かにしろ、うるせぇ」
「なぁに?いい土産を持ってきたのに」
「…土産だァ?」
(…え)
待って、…間違いない
…かも
『ベ、ルモットさ……』
ベルモットさんを呼ぼうとしたら、声が震えた。
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哀愁(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (5月7日 22時) (レス) @page33 id: 4b362b9d0f (このIDを非表示/違反報告)
MEIKA(プロフ) - 一気に読み終わるくらい素敵な作品でドキドキが止まりませんでした!!更新待ってます! (4月22日 5時) (レス) @page33 id: 1bb6835bc2 (このIDを非表示/違反報告)
あ - めっちゃ好きです!更新待ってます! (2月24日 18時) (レス) @page33 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - 更新楽しみにしてます……!!この作品ばり好きすぎてほんとに一生リピってます( ߹ㅁ߹)頑張ってください! (1月14日 23時) (レス) @page33 id: 76976485fa (このIDを非表示/違反報告)
いぎ - 更新楽しみにしています!大好きな作品なので待ってます! (12月5日 22時) (レス) id: 0fab079a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:缶コーヒー | 作成日時:2023年8月15日 17時