７７.彼の香りが ページ29
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「着いたわ」
『……？』
数分後辿り着いたのは、
とあるマンションの目の前の駐車場。
バイクは番号がついてる場所に停めたみたいだけど
これ、誰かの駐車スペースなんじゃ…
と少し心配になる。
「貴方、彼から携帯預かってるわよね」
『！』
「そこに書いてあったはずよ」
“ここの住所がね”
『！そうだ…』
そう言われて咄嗟に携帯を確認してみた。
…書いてある。
きっとこの辺りの住所だ。
電柱に書かれた住所と同じ地名。
「…行くわよ」
『っ』
ごくっ、と唾を飲み込み
そのまま彼女の後をついて行く。
『この番号の部屋…』
「部屋番号も書いてあったでしょ」
そうだ。
住所の語尾にちゃんと記載されてる。
携帯と部屋番号を交互に見比べていると、
ベルモットさんは早速ポケットから鍵を取り出し
それを鍵穴に差し込んだ。
『……ぁ、』
そして開かれたドアと、
そこから香ってきた懐かしくも思えるこの香り
まさしく、
グレース…いや
ピンガさんの香りで間違いない。
「…ふ
なんて顔してるのよ」
『だ、って』
香りを感じただけで胸が締め付けられる思いだった。
何でこうなるのかは自分でもわかってる。
もう二度とこの香りを嗅ぐことはないと思っていたから
「昨日は…風が強い日だったわね」
『…、はい？』
突然なにを言い出すんだろう
ベルモットさん。
昨日は色々あり過ぎて全然気にしてなかったけど、
確かに風の強い日だったかもしれないけど。
…風の強い夜が明けた今
『いつか、この部屋の香りも消えちゃうんですかね』
「…」
『……私
1人になったらどうしよう…』
ベルモットさんは確実に
彼が“死んだ”とは言っていない。
だからこそ、不安だった。
こうして彼の香りをもう一度感じたあとで
そんな事を言われてしまえば…
「あぁだから、ほら泣かないで」
指で私の頬を流れる涙を拭ったベルモットさん。
「…さ、次は別の場所に向かうわよ」
『……え、』
「でも、泣かせたと勘違いされれば私が危ないから
貴方がちゃんと泣き止んでからね」
不安がる私とは裏腹に
ベルモットさんは楽しそうに笑った。
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哀愁(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (5月7日 22時) (
レス) @page33 id: 4b362b9d0f (このIDを非表示/違反報告)
MEIKA(プロフ) - 一気に読み終わるくらい素敵な作品でドキドキが止まりませんでした！！更新待ってます！ (4月22日 5時) (レス) @page33 id: 1bb6835bc2 (このIDを非表示/違反報告)
あ - めっちゃ好きです！更新待ってます！ (2月24日 18時) (レス) @page33 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - 更新楽しみにしてます……！！この作品ばり好きすぎてほんとに一生リピってます( ߹ㅁ߹)頑張ってください！ (1月14日 23時) (レス) @page33 id: 76976485fa (このIDを非表示/違反報告)
いぎ - 更新楽しみにしています！大好きな作品なので待ってます！ (12月5日 22時) (レス) id: 0fab079a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：缶コーヒー | 作成日時：2023年8月15日 17時
