検索窓
今日:167 hit、昨日:226 hit、合計:118,701 hit

62.気絶 ページ14








『グレース…?』






グレースはニィ…と怪しく笑いながら
後ろに回した手でさっきの小瓶をいじっていた。




……よく見ると、
ハンカチに小瓶の液体を垂らしている。






「何やってんだ、お前」




レオンハルトがグレースの怪しい動きに反応する。






「_A、目瞑って耳塞いでろ」




『っ?』







ニヤリと笑いながら彼女がそう呟いた

次の瞬間、







「ッ!」




レオンハルトがグレースに飛びかかった。






『……!?』





せっかくグレースが忠告してくれたのに、


突然の事で反応できなかった私は
その光景から目を逸らせなくなってしまっていた。







グレースは伸びてきたレオンハルトの手をすばやく左手で払い、彼の頭を持って抱え込むと


そのまま彼をベッドに押し倒した。






「ぐぅ…ッ!」





レオンハルトは苦しそうにもがく。


それでもグレースは彼を力ずくで抑えたまま、さっきのハンカチをレオンハルトの鼻と口元に押し当てている。






(何が起きてるの…)





私は自分の体が震えている事に気がついた。



きっとさっき忠告してくれたのは
この光景を私に見せない為…。






やがてレオンハルトの動きが静かになり、
彼の足が力なく垂れた。






「……ふ」




起き上がり、髪を払ったグレース。

ここからじゃ後ろ姿しか分からないけど、
今、彼が笑ったって事だけは分かる。






「はァ…」



彼女はボキッ、と肩を鳴らすと振り返ってきて。




…そして私と目が合った瞬間、
その綺麗な目が見開かれた。





「……

今の見た?」





コクコクと頷くとまたため息をつく彼女。





『…レオンハルトは、殺したの…?』




静かに私に近付いてくるグレースを見上げながら
震えて上手く出ない声で尋ねた。





「今は気絶してるだけだが…
始末しなきゃならなくなった。


拉致の件も気付きやがったし
お前がここにいる事も知られたしな」




『…ッ』






溜まっていた涙が頬を伝うと
それをグレースが指で掬う。





「……俺が怖いか」





そのままスルッ、と頬を撫でられ
じっと見つめてくる綺麗な瞳。



ブンブンと首を振ると
グレースはまた驚いたように目を丸くさせた。






『………むしろ大好き』




「…。

お前も物好きだな」






確かにさっきはちょっと怖かったけどね。








てか、さっきの小瓶の液体、
匂いを嗅ぐと気絶するんだ…







(危ないとこだった)








63.ふたつのアプリ→←61.突然の訪問者



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (333 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1012人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

哀愁(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (5月7日 22時) (レス) @page33 id: 4b362b9d0f (このIDを非表示/違反報告)
MEIKA(プロフ) - 一気に読み終わるくらい素敵な作品でドキドキが止まりませんでした!!更新待ってます! (4月22日 5時) (レス) @page33 id: 1bb6835bc2 (このIDを非表示/違反報告)
- めっちゃ好きです!更新待ってます! (2月24日 18時) (レス) @page33 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - 更新楽しみにしてます……!!この作品ばり好きすぎてほんとに一生リピってます( ߹ㅁ߹)頑張ってください! (1月14日 23時) (レス) @page33 id: 76976485fa (このIDを非表示/違反報告)
いぎ - 更新楽しみにしています!大好きな作品なので待ってます! (12月5日 22時) (レス) id: 0fab079a1b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:缶コーヒー | 作成日時:2023年8月15日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。