61.突然の訪問者 ページ13
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グレースが仕事に向かって、何時間か経った頃。
私はグレースの部屋をウロウロ歩き回っていた。
昨日の拉致の件もあり
何となく心が収まらなかったのだ。
『……あれ?』
棚の上に置いてある小さな小瓶に気が付き、
ふと足を止める。
(この小瓶、
グレースがよく飲んでるお酒と同じ柄だ…)
透明な液体が入っている。
これもお酒なのかな?と
興味本位で蓋を開けた、丁度そのとき。
[ガチャッ…]
『!』
荒々しく開かれた扉。
咄嗟に振り向くと、そこにはグレースが立っていて。
『…あれ、グレース?戻ってきたの?
あぁ、休憩時間か…』
「…!」
『?』
グレースは何故か私の手に持たれている小瓶をみて
驚いたような表情を浮かべている。
…え、これ開けたらまずかった…?
「それ、直接匂いは嗅ぐんじゃねぇぞ」
『…!ピンガさ……あっ。』
近づいてきたグレースに
持っていた小瓶を易々と取り上げられる。
し、身長差……
しかも、グレースの顔でピンガさんの声だと
余計に違和感が…。
……そんな事を考えていたその時。
[バンッ!]
『_ッ!?』
再び部屋のドアが突然強く開けられた。
誰…!?
…ってヤバい。
早く隠れないと…!
焦ってグレースの影に隠れるも時すでに遅し
部屋に入ってきたその人物と目が合ってしまった。
「……!?」
『れ、レオンハルト!?』
しかも、その人物というのは
額に青筋を浮かべたレオンハルトだった。
「お前、なんでここに…!?」
『、…ッ』
どうしよう、バレた。
ピンガさんがあんなに隠してくれてたのに
グレースの表情を恐る恐る、背後から窺う。
『…っ?』
……が、彼の表情は至って普通。
むしろ楽しそうに口角が上げられていて…。
「あれはどういうことだ…!
そこの拉致されたハズのAも!!」
ベッド付近に立つ私達にずんずんと近づいてきて、
私は思わず部屋の隅に逃げるように移動した。
「何とか言ったらどうなんだ!?
あのログは昨夜、お前がメインルームにいたときの_」
『…?』
言葉が途切れたレオンハルト。
目を向けると、
レオンハルトはある一点を見つめている。
それは……後ろに回されたグレースの手元。
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哀愁(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (5月7日 22時) (レス) @page33 id: 4b362b9d0f (このIDを非表示/違反報告)
MEIKA(プロフ) - 一気に読み終わるくらい素敵な作品でドキドキが止まりませんでした!!更新待ってます! (4月22日 5時) (レス) @page33 id: 1bb6835bc2 (このIDを非表示/違反報告)
あ - めっちゃ好きです!更新待ってます! (2月24日 18時) (レス) @page33 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - 更新楽しみにしてます……!!この作品ばり好きすぎてほんとに一生リピってます( ߹ㅁ߹)頑張ってください! (1月14日 23時) (レス) @page33 id: 76976485fa (このIDを非表示/違反報告)
いぎ - 更新楽しみにしています!大好きな作品なので待ってます! (12月5日 22時) (レス) id: 0fab079a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:缶コーヒー | 作成日時:2023年8月15日 17時