簓お兄ちゃん

一話 ページ2

「Aちゃ〜ん！！簓さんが迎えにきたでー！」

俺が玄関で一声掛ければ
リビングの方から可愛らしい足音が近づいてくる。

「おかえりなさい！簓お兄ちゃん！！」

満遍の笑みで出迎えに来てくれたこの子は、俺がまだ東京に住んでた頃に拾った迷子だ。

「ほんまAはかわええなぁ！」

Aを抱き上げ頬にキスをしていると、

「人ん家であんまりイチャつかんといてや」

と少し呆れ顔の盧笙もやってきた。

「えぇ〜いいやんなぁ〜？」

「なぁ〜？」

俺の口調を真似をしながら首を傾けて笑うA
はぁぁあ、疲れが吹っ飛ぶわ！

「簓お兄ちゃん、お仕事お疲れ様！」

「おおきにな〜はぁ〜癒されるわ」

ぎゅーと細い身体に抱きつくとAのいい匂いが鼻を擽る。

この子は俺が見つけた天使。

「嬢ちゃん、どうしたんや？迷子か？？」

別に気にせんといても良かったとは思うが、人混みが多い街中でキョロキョロと辺りを見渡すその子を放って置けず気がついたら声を掛けていた。

「お兄ちゃんと離れちゃったの…」

今までずっと我慢していたのか、糸が切れたようにボロボロと泣き出したAがほんまに可愛くて

俺はこの子が欲しくて堪らなくなってしまった。

あかんやろ、こんな可愛い子手放したら。





俺が貰ってやらんとな。

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