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料理の話からいつの間にか私についての話に変わっていた。
「Aも仙人ってことは…やっぱり強いの?」
目付きが変わったタルタリヤに思わず苦笑いをこぼす。私が強いかどうか、と聞かれればきっと強い部類に入るのかもしれない。当たり前だけど「凡人」よりは丈夫なわけで。
ご飯を咀嚼しながら曖昧な返事をすると、鍾離様が爆弾のような言葉を投下した。
「一度手合わせしてみたらどうだ。」
「鍾離先生が許可くれるとは思わなかったな。」
「ははっ、俺のAが負けるはずがないだろう?」
手を止めて、期待の眼差しを向けるタルタリヤを見つめる。鍾離様からのプレッシャーもすごい…とは言え期待を裏切るわけにもいかないし…
このまま美味しく食事を楽しむのも無理そうだと判断して、箸を置き重たい腰を上げた。
そして私たちは璃月港からだいぶ離れた絶雲の間近くまでやってきた。タルタリヤは弓、私は槍を手に向かい合う。どちらかの体が地面についた時点で終了、と言うルールで手合わせは始まった。
「本気で行かせてもらうよ!」
「お手柔らかに…!」
槍を振るうと、過去を思い出す。
帝君の隣にいた私は彼と同じように槍を手にし、帝君に教えを乞う——そうして培ったものは、体が成長しても染み込んでいたままだった。あの時、群玉閣で戦った時にそれはわかっている。
「あっはは、良いねその顔!何よりっ、一撃が重い…!」
「喋ってたら舌、噛み切るかもよ。」
「っ!?」
だからこそ負けるわけにはいかない。教えを無駄にしたくない、なにより私は「仙人」だ。他の仙人と同じく、半分は力によって璃月を守っていたと言ってもいい。
矛先が、タルタリヤの持つ水元素による双剣を叩きつける。
「うぅん…まだ立つの?」
「立てるけど、今の一撃……重すぎて、腕が痺れたよ…折れてはないみたいだけど。」
「ふむ、もう武器が持てないようだな…では勝敗は決まった、と言うことで良いな?」
手をひらひらとしたタルタリヤは残念そうに「さすがに降参…」と呟いた。
無事に終わったことにほっとしつつ、次に食事するときはちゃんと最後までのんびりしたいなと思ったりして。
——
「さっきの力、その体のどこから出てるんだい…?」
「……仙人だもん。」
「その理由はさすがに適当すぎないかな。」
「まぁ、普通は安易と正体を晒すものでもないからな。」
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匿名 - 感動できる物語を読まさせていただきありがとうございます!!これからも応援しています! (2022年6月14日 21時) (レス) @page15 id: e82571c646 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 続編おめでとうございます!最初から読ませて頂きました!更新頑張ってください!応援してます! (2022年6月3日 22時) (レス) @page4 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりふき | 作成日時:2022年6月1日 19時