お菓子は皆を笑顔にする魔法。【 夢色パティシエール】

▼sweet.014 ページ15

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夕方、Aグループの4人で夕食を取っていると、ルミちゃんがいちごちゃんがどこにいるか聞き回っている。耳を澄まして聞いてみると、まだ部屋にも帰ってきてないんだとか。



「転校初日にあれはキツいよ。可哀想に、いちごちゃんまだどこかで泣いてるんじゃないの」
「樫野、お前ちょっと言い過ぎだぞ」



そう花房と安藤が樫野に言っても、樫野は「ふんっ」とそっぽを向くだけ。



『...確かに、あの言い方は酷かったかもしれない。でも、今回のことは樫野が正しかったよ。あの言葉は少なからずいちごちゃんの成長の糧になる可能性があるかもしれない』
「珍しいね、Aちゃんが樫野の意見に肯定するなんて」
『そ、そんなわけじゃないよっ』



いつもは樫野と言い合いをしている私が、樫野の意見と同意なのが2人からしたら心底驚きなのだろう。



『別にッ私だって樫野の意見と同じな時だってあるわ。あの言い方はいただけなかったけどね！』



あくまでも、私は樫野の口の悪さはダメだと少しだけの反抗をして、自分の部屋に戻ることにした。


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帰る途中、調理室の電気がついているのに気が付いた。電気のし忘れか誰か自主練でもしてるのかと思ったので、一応見に行って見ると...。



「くそー、樫野め。あそこまで言わなくたっていいじゃない！」
『！...ふふっ』



いちごちゃんが今日の授業で失敗していたミルクレープの自主練をしていた。遠くから見ても、目が赤くなっていてさっきまで泣いていたのが分かる。転校した端から厳しい言葉をかけられて、きっと怒りが沸いてきて悔しくて前の場所に帰りたくなったのかもしれない。

でも、戻ってきてくれたんだ。




それがただただ嬉しかった。





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