お菓子は皆を笑顔にする魔法。【 夢色パティシエール】

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『うわー、凄い人だかり』



前々から気になっていたスイーツフェスタに行くために、聖マリー学園から長時間バスに乗り、やっとの思いでバスから降りた瞬間に私はそう呟いた。

スイーツフェスタが行われている建物に歩きながら向かう途中、街には人だかりができていた。しかも、その多くは家族連れでおめかしをしている人たちばかり。何か人が集まるようなイベントは私の本日の目当てであるスイーツフェスタのほかにあっただろうかと周りを見渡してみれば、至る所にピアノのコンクールのチラシが貼られていることで、この人だかりの原因がピアノのコンクールだということが分かった。

目的地に近づいてくると、反対方向から歩いてくる沢山の人から甘い匂いが感じられる。この人たちはもうスイーツを食べたのか。そう思うと、私はもう待ちきれなくなってしまい走り出してしまった。



「ここがスイーツフェスタをやってる場所。美味しそうな匂いが凄くするし、何よりスイーツが全部見た目も綺麗！！」



ケーキを楽しむだけでなく、プロの作るケーキを少しばかり偵察するために会場内を1周ぐるっと回ってみる。どこに視線を向けても視界に映るのはケーキ、ケーキ、ケーキ。せっかくプロの作ったお菓子を拝見できるとは言っても、口の中から早く食べてしまいたいとヨダレが溢れてくる。

今日の日のために昨日の夜ご飯をみんなに心配されるくらい減らしちゃったんだもん。お腹は空いているし、早く食べたいよね！

というわけで、今日ばかりは自分の欲にパティシエールの卵の精神が負けてしまったわけで、急いでレジへ向かう。


「お客様、どうなさいましたか？」


周りは購入するケーキをトレイに乗せているのに、私が何も持っていないために何か困っているのかと勘違いしているレジの男性店員さん。でも、私が次に発する言葉によって男性店員までもなく、周りの店員さんやお客さんまで驚かせてしまうことになってしまった。


『ここで販売しているケーキ、全種類１つずつ下さい！』
「え？！」

「...お客様、ケーキはお持ち帰りでしょうか？」
『いえ、全てここで食べていきます！！』




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