お菓子は皆を笑顔にする魔法。【 夢色パティシエール】

▼sweet.019 ページ20

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という先生の言葉を最後に、一斉に生け花を生ける作業が始まった。数十分後、完成させた人を順番に先生がアドバイスをしていく。



「Aさんの作品は...儚さ、表現したのでしょうか。基本に囚われないAさんらしさがこの作品をさらに良く引き立てていますね。とても良い作品ですよ」
『ありがとうございます』



先生から褒められて嬉しいはずの私だが、今は足の痺れに一生懸命耐えようと喜ぶ隙なんて1ミリもなく、足の痛さに悶えていた。すぐにでも正座を崩してしまいそうになる。

私の作品の評価を終えた先生は、ルミちゃん、りえちゃん、いちごちゃんへと順々に感想を言っていく。



「まあ...、この花...イメージはもしかして」
「ケーキです！ケーキ作るの大好きだから、お花もケーキみたいに飾ったら素敵かなって」



そう言ういちごちゃんの足元には白いお花でスポンジと生クリームの部分を赤い薔薇(バラ)で苺を表現したショートケーキのような作品があった。言われなくともケーキと分かってしまうほど、表現度は中々のもので、いちごちゃんのケーキが好きという気持ちがひしひしと伝わってくるような作品だ。



「貴方が楽しんで作ったのが良く伝わってくるわ。とっても良い作品ですよ」



先生に褒められていちごちゃんは喜んでいるようだが、隣のりえちゃんはいちごちゃんの事を敵視しているようだ。その後、授業終了のチャイムと共に学級委員の号令がかかる。



「気を付け、礼」
「ありがとうございました」



ありがとうございましたを言い終わると共に、私は畳の上にへたり込む。立つのも立ち続けるのも精一杯で、側から見れば生まれたての小鹿のようだったかもしれない。

あまりの痛さに足を1mmさえも動かす事を許すことはできない。痛みが治るまで下を向きながら我慢していると、急に誰かの影が現れた。




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