□番外編.「モデル」3 ページ24
You side
あれから、なんやかんや進んで私は今琉生兄さんにメイクをしてもらっていた。
監督さんは余程私が理想の人物だったのか、雑誌に顔出しで出てくれと何度もお願いされた。だけど、自分のこの顔には自信なんて1ミリもないし、風斗に迷惑がかかるかもしれないと丁寧にお断りさせていただいた。
いつもメイクなんてしない私のスッピン肌に、琉生兄さんによってファンデーションが塗られていく。化粧なんて常日頃しないし保湿のためのリップクリームしか塗らないからメイクのことなんて良く分からない。だから、琉生兄さんにされるがまま。
メイクが終われば、髪の毛を纏めるヘアバンドを着けさせられて、自分の髪色と似た茶色のカツラを被せられる。目を開けると、自分に似た私がいた。
「す、凄い!!琉生兄さん!!」
琉「うん。Aちゃん、可愛い、から何でも似合う」
「そんなことな...ううん、琉生兄さんが凄いんだよ。私ってこんなに変わるんだー」
興奮して鏡に映った自分をジッと見つめる。
そこにいる私は、私なのに私じゃない感覚がしてならない。
もっと細かく見ていたかったが、風斗が撮影のために呼び出してきたために見ることが出来なかった。
.
今回の撮影のテーマは「冬でカップルのイチャイチャデート」...らしい。
スタジオに着くと、すぐさまに撮影が始まった。
風「ねえ、笑顔が硬い。僕らカップルの設定なんだからもうちょっと自然に笑いなよ」
「わ、分かってるってば...」
緊張して表情がカインコチンになってしまう。というか、カメラの前で自然に笑うなんて一般人からしたら至難の技に決まってる...!
私の顔を見て何かを察したのか、風斗が耳元で何かを言ってきた。
風「A、僕達今日で付き合って2年目だね」
「え?」
風「僕は、無邪気に笑うAが好きだ。ずっと近くで見ていたい。...だから、僕と結婚してくれませんか?」
「...ふふっ、はい」
［パシャッ］
風斗の演技に面白くて吹き出してしまえば、その瞬間カメラ撮られていた。
「いいねぇー、今の凄い良かったよー!!」と監督には絶賛された。その日の撮影は風斗のおかげで長くはかからなかった。
そして、数ヶ月後。
私は知らなかった。あの日約束した顔は映さないという約束はいつの間にか破られていて、私と風斗のあの写真が雑誌の表紙に飾られた。
勿論、私が話題になり将来芸能界デビューすることも今の私には知るよしもない。
.
Fin.
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心芦心芦(プロフ) - 水無月のぞみさん» パスワードの表記は英単語で分かりやすいところに書いているのでご自身で見つけていただけると幸いです。 (2021年12月16日 17時) (
レス) id: 0695e2aa22 (このIDを非表示/違反報告)
水無月のぞみ - 1のやつがパスワードにかかってて読めない。 (2021年12月16日 14時) (レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
心芦心芦(プロフ) - ゆりかさん» コメントありがとうございます笑面白いと言っていただけて嬉しいです。これからも頑張って書いていきますね！！ (2020年3月11日 3時) (レス) id: 0695e2aa22 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - めっちゃ面白いです！！続きが気になります♪ (2020年3月10日 3時) (レス) id: 1647bd3009 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：心芦心芦 | 作成日時：2018年3月11日 19時
