1話 ページ2
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「今日も鏡花ちゃんは大活躍だったね…。」
言葉の後ろに、「役に立たなくてごめんなさい。」、とでも付くように情けない顔をしている人物。
その横には涼しい顔をし、「有難う。」と小さく礼を云う人物。
────────中島敦、そして泉鏡花だ。
会話の内容から、敦がヘマをした様に感じるが、実際の所は、鏡花の任務遂行力が優れているだけである。
だが、敦の長所と云えば、普段は温厚な所だ。冷静な鏡花に温厚な敦、バランスの良い2人はかなりの頻度で任務を共にする。
「貴方のお陰で任務遂行が出来たし、私が目立った解決方法をとっただけだから…。」
鏡花がそう云って慰め、今度は敦が礼を云った。
武装探偵社と云う組織に入ってから、2人とも、前の面影も殆ど消え、今ではすっかり一員だ。
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話す2人に、小さな人影が近づく。
歩く歩幅の小さい人影は、やっとの事で2人に追いつくと、敦の衣服をぎゅっと掴んだ。
「!……え…?」
その人影は、白い髪に白い肌に白い服と云う、何とも不思議な恰好の幼児だった。
笑いも、泣きもしておらず、只敦をじっと見て、且つ無表情な幼児、おまけに全体的に白いと云う特殊すぎる見た目だ。
そして、その中で光る薄い紫色の瞳が、まるで逆らうなと云っている様に感じた。
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何度か鏡花と目を合わせて、アイコンタクトをしていたが、やがて諦めた様に幼児を連れて探偵社への帰路へついたのだった。
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作者名:ぼうし | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e16ae6a8fa1/
作成日時:2019年7月2日 20時