まだその時ではない【夕暮 暖】 ページ36
少しすると足音が聞こえた
早く名字を呼んでこの二人を――そう思い首を後ろに向けた
また、人が倒れていた
また、血溜まりが出来ていた
そいつの後ろには、嘲笑うように俺を見る破壊者がいた
何故? 能力を使っている時は破壊者は動けないはず
・・・・・・ああ、そうだった。確かこの能力は少しの衝撃を受けただけでも解除されてしまうのだった
能力によって出来る降ってくる雨や桜の花弁
きっとそれらに当たって能力が解けたんだろう
――どうすればいいんだ
一体この状況で俺は何をしろと言うんだ
真っ赤な辺りを見渡せば見渡すだけ、俺の思考がグルグルとかき乱される
立ちすくむ俺に容赦なく飛び掛かろうとしてくる、能力が解けてしまった破壊者を見て俺は能力を解いた
能力によって動きを停止していた破壊者たちは、何事もなかったかのように動き始める
先程まで能力を使っていた為か、倒れている奴らを無視して俺の方へ集まってきていた
「……丁度いい」
乾いた笑みを零しながら俺はそう呟いた
奴らを別の場所へ誘導する
出来るだけ遠くへ、人がいない場所へ
――数分後、あいつ等の姿が見えないくらい遠くへ来た
ベースキャンプもかなり小さく見える
破壊者の数をざっと数を数えてみたが、約三十匹程だった
死ぬかもしれない
いや、これで四季を取り戻せるのなら、守れるのならいいもかもしれない
『お兄ちゃん四季紡ぎに選ばれたの!? すごい!』
ごめんな、××。俺は四季を取り戻すことが出来なかった
『じゃあ、きっと数年後にはここからまた桜とかが見れるようになるね!』
・・・・・・きっと皆が取り返してくれるさ、だから大丈夫だ
『お兄ちゃん、死なないでね?』
・・・・・・ああ、そうだったな
まだ、
グッと拳を握り直すと、間近に近づいてきていた破壊者に向かって俺は拳を振りかざし始めた
まだ『誓』を、季節を取り戻せていない
仲間ですら守れなかった
ならば、この敵たちぐらい――殲滅して見せようじゃないか
体力には自信があった為、疲れることはなかった
だが、知能を持つ破壊者が俺の脚を受け止めて皮膚を溶かして来た時は流石に危なかった
血が靴の間に流れていく。不思議と痛くはなかった
脳内麻薬と言うやつだろうか
俺はただひたすら拳と足を動かし続けた
数分後
視界から消え去った破壊者を確認すると、俺は血だらけの体を引きずりながらベースキャンプへ戻った
怒りは爆発する。【月ヶ瀬 亨】→←チャンス到来?【泡沫 沙織里】
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魁來。(プロフ) - 終了しました (2017年12月1日 6時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
魁來。(プロフ) - 更新します (2017年12月1日 6時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
トウキビ(プロフ) - 更新しました (2017年11月25日 19時) (レス) id: 897976709d (このIDを非表示/違反報告)
トウキビ(プロフ) - 更新します (2017年11月25日 19時) (レス) id: 897976709d (このIDを非表示/違反報告)
フリダ‐(プロフ) - 更新終わりました。 (2017年11月24日 19時) (レス) id: f3285e7d53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四季紡ぎ。作成メンバー x他9人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年11月12日 22時