【呪術廻戦】片栗ノ花２

−６８− ページ46

傑「A、そろそろ機嫌直してくれないかい？」



寮の部屋のドアがノックされたと思ったら、外からそんな傑の声が聞こえてきた。



あの衝撃的な行動のすぐ後、私はほぼ無意識に傑の頬にビンタを1発食らわせていた。
そしてそのまま部屋まで逃走。現実の部屋の位置と同じで助かった。


ビンタ直後の傑の様子がどうだったか分からないけど、飛び出してすぐ談話室から悟と硝子ちゃんの大笑いする声が聞こえてきた気がする。



部屋に飛び込んで、いつもは閉めない鍵を閉めて、ベッドにダイブした私はバタバタと足をバタ足させながら心臓を落ち着かせた。



すぐに私を追ってきた傑がドア越しに謝ってきたが、何も反応できなかった私に「落ち着いたら出ておいで」と言って少し時間をくれた。

それから１時間ほど経ったのが現在である。



とにかく早くここを出なければ。
元の世界に戻って、祓わなければ。


最小限の範囲で領域展開すれば、きっと被害は出ずに済むはず。
相手を閉じ込めることが出来なくても、とりあえずはここから出ることができるだろう。



早く出ないと…



傑「A…謝りたいんだが、どうしてそんなに怒っているのか分からないんだ」



ドア越しに傑の落ち込んだ声が聞こえて、心が揺れる。



そっとベッドを降りて、ドアの前まで移動した。



傑「A、出てきてくれないかい？」


早く戻れ
早く祓え


頭ではちゃんと分かっているのに…


気づいたらドアの鍵を開けていた。

−６９−→←−６７−

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す