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傑「おかえり、意外と任務早く終わったんだね」



振り返った私の前に立つ傑は、記憶の中の傑と全く同じだった。


あの頃のままの、

高専の制服を着て、髪を綺麗にまとめて、顔も、声も、感じる呪力も…全部同じ。



この傑は呪いが姿を真似しているものじゃないとハッキリ分かった。

でも傑は死んだんだ。
生きているはずがない。



それならここは、私の記憶の中なのだろうか。

私は眠っている?
それとも、記憶の具現化?


あの頃と同じ頬笑みを浮かべた傑が近づいてきて、私は思わず後退りした。


傑「…もしかしてまだ怒っているのかい?」



『え、』



眉を下げて困ったようにそう言うする傑に、戸惑いから声が零れた。


そういえばと私は自分の手や体を見る。
昔の姿ではなく、今の浅緋Aの姿だと確認できた。


目の前に立っている高専時代の傑と、今の私は同じ時間に存在していない。
この時代の傑が知っている私はもっと幼い頃の私のはず。


なのに何故普通に話し掛けて来るのだろうか。



傑「A」



また名前を呼ばれてハッと顔を上げる。
何も話さない私を、傑は心配そうに見ていた。



傑「アイス食べてしまったのは謝っただろ?それとも、任務で何かあったのかい?」



本気で心配しているのが伝わってくる。

目の前に立っているのがあの頃の本物の傑にしか見えない。



傑「とりあえず中に入ろう。アイスも買っておいたし、何かあったなら硝子に診てもらおう」



そう言って差し出された手と傑の顔を交互に見た。



早く出口を探してここから出なければ。


この変な空間を作っている呪いを祓わなければ。



頭ではそう思っているのに、心がそれを許してくれない。



私は差し出された手にそっと自分の手を重ねた。




私の手を握った大きな手は、あの頃と全く同じで…とても温かかった。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 伏黒恵   
作品ジャンル:アニメ
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sou(プロフ) - アコさん» はい!もちろんです!!新しい作品や更新などあったらまた見に来ます!! (2022年1月31日 1時) (レス) id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
アコ(プロフ) - souさん» 宿木だけでなくこちらにもコメントありがとうございます!文才素晴らしいなんて本当に本当に嬉しいです…!幸せしかないifストーリーも書きたいとは思っているんですが、なかなか手が出せず…もし書いた時はまたよろしくお願いします! (2022年1月30日 1時) (レス) id: b7dc70b3b5 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - アコさんの文才が素晴らしすぎて夏油さんと夢主ちゃんのシーンに毎回涙が止まりません、、、泣けるのも好きだけど夏油さんの幸せなシーンも見たいっていうわがままな感情が生まれてます、、 (2022年1月26日 17時) (レス) @page41 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
アコ(プロフ) - プスメラさん» コメントありがとうございます!どうやって終わらせようか悩んでいたのですが、とりあえず五条オチで書こうと思っています。更新遅れてしまいすみません!引き続き読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします! (2021年1月31日 1時) (レス) id: f73a02885d (このIDを非表示/違反報告)
プスメラ - アコさん初めてまして、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年1月30日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アコ | 作成日時:2020年12月19日 1時

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