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傑「ランドセルを買いに行こう」
翌日。
久々に一緒に朝ごはんを食べてから支度をして、高専を出て歩きながら傑がそう言った。
『…らんどせる』
あまり嬉しそうじゃないAに、傑は疑問に思い立ち止まる。
傑が立ち止まったことで自然とAの足も止まると、傑が目の前に屈んだ。
傑「嬉しくない?」
『…A、ずっとすぐると一緒にいたい』
最近ずっと我慢していたからか、ポツリと呟いた本音と同時にポロポロと両目から涙が零れてくる。
それを見た傑は、一瞬目を見開いたあと眉を下げてAを抱き寄せた。
傑「…私も一緒に居たいよ。だけど、小学校に行ったらAの世界はもっと大きくなる」
「休みの日は一緒に過ごそう」そう言いながらAの顔を両手で包むと親指で涙を拭った。
『…やくそくっ』
傑「約束する」
_____…
落ち着いたAと改めてランドセルを買うために移動し、無事に購入することができた。
行く前は嬉しくなさそうだったが、購入してみれば意外と気に入ったようでAの足取りは軽い。
傑は赤やピンクを提案したのだが、Aは絶対に黒がいいと譲らなかった。
結局、傑が折れてご希望の黒のランドセルを購入した。
傑「どうして黒が良かったんだい?」
『黒はすぐるの色だから!』
ちゃんとは理解できなかったが、きっと普段から黒髪黒服黒ピアスの傑を見て、Aの脳内では傑のイメージカラーは黒なのだろうと解釈した。
傑「じゃあ、このランドセルで頑張って通うんだよ」
『うん!』
傑「それと、少しずつでいいから"私"って自分のことを言うのを意識してごらん」
「小学生になるからね」と傑が言えば、Aは頑張ると頷いた。
悟のみたいに成長しても一人称を変えないようになっては困ると考えての言葉だった。
『わたしはAです!』
突然自己紹介をしたAに、傑はその調子と笑う。
この時間が続けばいいのにと感じながら、蝉の声が響く帰り道を2人手を繋いで歩いた。
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sou(プロフ) - アコさん» はい!もちろんです!!新しい作品や更新などあったらまた見に来ます!! (2022年1月31日 1時) (レス) id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
アコ(プロフ) - souさん» 宿木だけでなくこちらにもコメントありがとうございます!文才素晴らしいなんて本当に本当に嬉しいです…!幸せしかないifストーリーも書きたいとは思っているんですが、なかなか手が出せず…もし書いた時はまたよろしくお願いします! (2022年1月30日 1時) (レス) id: b7dc70b3b5 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - アコさんの文才が素晴らしすぎて夏油さんと夢主ちゃんのシーンに毎回涙が止まりません、、、泣けるのも好きだけど夏油さんの幸せなシーンも見たいっていうわがままな感情が生まれてます、、 (2022年1月26日 17時) (レス) @page41 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
アコ(プロフ) - プスメラさん» コメントありがとうございます!どうやって終わらせようか悩んでいたのですが、とりあえず五条オチで書こうと思っています。更新遅れてしまいすみません!引き続き読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします! (2021年1月31日 1時) (レス) id: f73a02885d (このIDを非表示/違反報告)
プスメラ - アコさん初めてまして、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年1月30日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アコ | 作成日時:2020年12月19日 1時