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「汚す、とかは気にしないので。ほんと。私もお菓子食べながらとか紅茶飲みながらで読むので」
本に集中しすぎて飲み物をこぼしたことさえある。その時ばかりは後悔したが、その後はどこか吹っ切れてながら読みが解禁されたことを思い出した。
なんだか、懐かしい記憶だなと思える。紅茶を飲みながら本を読む時間は何と比べようと至福の時間なのだ。
ベッドの上なのが惜しいが私は表紙をさらっと撫でてから本を開いた。
「ナワーブさん、そこの角に来客用の椅子があるから使ってください。ひざ掛けも使ってくださいね」
ウッズさんが来るのは少なくとも1時間後、とかだろう。それまで床で座ってもらう訳にも行かないので部屋の角を指さす。
「んー」
しかし、彼は面倒くさそうに「ここでいいや」と言ってベットに腰かけた。彼がここでいいならいいのだろう。無理強いする理由もないし。
私は、何度も読んだ文章をもう一度読み返し始めた。彼もなんだかたどたどしく一ページ一ページと捲っていく。
なんとも、静かで幸せな時間だろう。
「これ、なんて読むんだ」
基本的に難しい漢字にはルピが振ってある初心者にも読みやすい書籍だが彼は時々そんなふうに聞いてくる。他にも難しい比喩表現は少し眉をひそめながら考えるような仕草をしているのでその度に、私が丁寧に丁寧に説明をする。
その度、悪い。だとか、あぁ、そういうことか。だとかそれぞれ違う反応が帰ってきてまた、互いに読書に集中する
彼は読書の邪魔をしているというふうに思っているのかもしれないが、私の好きな本を理解しようとしてくれているのは純粋に嬉しいのだ。
「ここは、彼女が彼を思う恋心を角砂糖で表現しているんです。砂糖は温めると溶けますよね。恋心という角砂糖は失恋という形に溶けてしまうけれど味は長い間残りますから。失恋と未練を同時に比喩表現として表してるんですね。」
「溶かそうとしたけど完全に消えてないってことか」
「そうですそうです！！」
「自分に嘘ついてまで、忘れようとしたんだな」
それどころか自分の解釈まで加えてくれる。あぁ、とても楽しい！
頬を緩めていると彼にまたくしゃくしゃと頭を撫でられた。
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とびこ(プロフ) - 黒猫山さん» 初コメありがとうございます♪そんなふうに言って貰えたなら本当に嬉しいです。これからも更新していくと思うのでよろしくお願いします！ (2023年3月31日 12時) (
レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫山 - 更新お疲れ様です！朝からいいもの見れた気がする…。あと初コメでした！応援してます！ (2023年3月31日 7時) (レス) @page37 id: 3a62e4e3a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とびこ | 作成日時：2023年3月31日 5時
