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どれだけの時間が経ったのだろう。どれだけ走ってもハンターとの距離が離れない。奴は鼻歌を歌いながらゆったりとしかし大きな歩幅で迫ってきている。
先程奴の手から放たれた霧のようなものが背中が背中を切り裂いてからというもの体からどんどんと力が抜けているような気がする。
ぽたぽたと垂れる血は生気を孕んでいるのだろうか。手足のしびれと目眩がハンターとは別に襲ってきている。
体力を使う呼吸は気持ちとは裏腹にどんどんと荒くなっており、視界が弱冠白みがかっていることがわかる。
「そろそろ限界ですか？」
「答えられないほどなのですね。しかし、暗号機がもう少しで上がりきってしまう。情けをかけられるほど貴方に情もないので」
奴が何か言っている。しかし雑音と変わり何を言っているのかが分からない。
奴が腕を振り上げた。爪には先程と同じように霧がまとっておりどちらに当ってももう動けないだろう。
「おしまいにしましょう」
そう言って私の背後から爪を突き立てた。濁っていた視界が一瞬目鮮明になり腹部から生えた真っ赤な爪先が見えた。貫通している。
「あ、あ」
ずるっと爪が抜け、体の芯が無くなったかのように膝を着く。なんだかとても眠くてそれでいて痛いはずの体が全く痛くない気がする。
その時、大きな音が響いた。警報のような、電子音のような。まるで何かを伝えるかのような大きな音だ。私はその音をぐったりと聞くことしか出来ない。
「もう、暗号機が上がりきりましたか。しかし、本当に不憫な方だ。貴方は。」
「……」
「内在人格のことについて知らないのでしょう。仲直りが発動しない」
「……」
何か言っている。
何か言っている。
なんと言っている。
「あぁ、なんて可哀想なんだ。このまま、ここにいてくれ。永遠に」
奴はそう言って這いつくばる私の頬にふれ顔を持ち上げた。
仮面の奥にうっすらと見える瞳は赤く鋭く光揺れている。
「失血死、ですか。ほかのサバイバーよりも随分早いようですが仕方がないですね」
意識が途絶えるか途絶えないかの狭間。ゲーム開始前に聞いた女性の声が耳に響いた。
「A……！」
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とびこ(プロフ) - 黒猫山さん» 初コメありがとうございます♪そんなふうに言って貰えたなら本当に嬉しいです。これからも更新していくと思うのでよろしくお願いします！ (2023年3月31日 12時) (
レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫山 - 更新お疲れ様です！朝からいいもの見れた気がする…。あと初コメでした！応援してます！ (2023年3月31日 7時) (レス) @page37 id: 3a62e4e3a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とびこ | 作成日時：2023年3月31日 5時
