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十話 ページ10
図星を突かれてしまった。
決して福沢殿を、人間性が湾曲している御方であると解釈していた訳では無い。
事業を展開していると、稀に‘そういう’人間に出くわすのだ。
この世を生きる者として、猜疑心を忘れてはならない。
「そんなまさか。」
「目が泳いでいるぞ」
やはりバレるか。
「…すまない、私の人間性が一寸歪んでいるようだ。情けない」
猜疑心を持つことも大事なことではある。
それは否定しようもない事実であるが、猜疑心は人をも歪める。ありもしない鬼の姿が見えるように、何でもない事まで恐ろしくなってしまう。
世間の信用を得るためには世間を信用すべきであるし、個人の信用に関しても同じことである。
猜疑心を忘れず、かつ自らすべてを信用するようであれ。
理想に為るためと邁進してきたというのに…
「そう落ち込むな。菓子はいるか？」
「福沢殿は、私を童だとでも思っているのか。菓子で気分が晴れるわけが
「神戸凮月堂のゴウフル」
「！！」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
菓子につられる渋沢栄一。
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作者名：ミヤモトきのこ x他1人 | 作成日時：2016年11月11日 23時
