0時の水槽、溺れる魚【天谷奴零】

ロンリープラネット ページ5

・






ひしめく人徳なきセオリーが圧力で。




見知らぬ誰かの一言が心の刃で。






＿＿親程離れた歳の相手に抱いた情はあまりに不純で異質だと。お前は何処かおかしいのだと。






...こういうのって、『気味が悪い』とでも言われるんだろうな






『(どうだっていいけど)』





改札口を抜け、満点の星の下颯爽と身を翻しすっかり体に染み付いた通路を切り進む




何光年先の星々は高速自転を繰り返し圧倒的な存在を指し示していた







『着いた...』




ピタリと二本の足を揃えた方向は眼前の洒落た一室に向ける。無論Aの目的地であり終着点である事に違いなかった




一瞬の躊躇いと勿体ぶり装って扉を押し開ける





『れぇーさぁん！！来ちゃいましたぁ』






きゅるるんと人が変わったように登場した別人格に我ながらゾッとした



誰だコイツは。自分から発する音に変わり無い筈なのに、間の伸びた鼻につく声にほとほと苦笑いを溢した。疲れる





それでも誰だって好きな人の前では被りたいものだろう？









＿＿猫。






「...ふっ、ほんま凝りねぇな？」



『好きゆえの行動です。そろそろこの想いが通じてほしい所存ですが』




長い道程を共にしてきたローファーを丁寧に脱ぎ揃え、彼の構えるソファへ覚束ない足取りで向かった。サングラス奥のオッドアイは試す如くこちらを凝視する






『好きです。いつになったら恋人になれるんですか』







＿＿本日も残り僅か。





彼の首裏に手を回して抱きついた

ジェラシーは海底の→←取り合えず現状維持で

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す