0時の水槽、溺れる魚【天谷奴零】

「これで終わりね ページ38

※ここからはコミカライズ及びドラマCDのネタバレ・考察を含みますので閲覧注意





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夜もすがら


時間の流れは早いもの。折々と、着々と。刻一刻と文字盤の針が稼働し、スマホのディスプレイから漏れるブルーライトを正面に当てた。直に日付が変わるタイミングでカウントダウンを切る





『(…3、)』




＿2、




1＿＿






「＿＿よぉ、嬢ちゃん」





『…零、＿＿さん』






現れたのは溢れるネオンに侵略する色彩のはっきりした、グリーンとイエロー。人情を持て余したオオサカの終風が双方の間を駆け抜けた







外さない視線



ここに外連味は無い



垣間見えた表情は腹を括っていた








『零さん』





何度も、何度も、何度だって。反芻して、留まる響きを蝸牛に通して






『＿＿ガラスは、液体ですよ』



「……」






反応は無し。全くもって想定内だ。構わず続ける






『ガラスの構造がアモルファスであるが故、不規則な分子の並びとなる液体に属されているんです』





それに、の接続単語で無理にでも本題を切り出させない





まだ。まだだ。たかが子供の悪あがきだと割り切って茶番を続けさせて欲しい





『＿＿魚って生き物は、呼吸を辞めてしまえばいとも簡単に溺れてしまう』





喉が熱い。つっかえる蟠りが表現力のボキャブラリーをお粗末なものにした






『知らなかった事、知らなかった方が良かった事、上記の二つも勿論そうです。



＿私にとってはガラスが液体である事も、溺れる魚も知らなくて良かった話。』




彼の様子はどうだろう。そんなの知ったこっちゃない。発言の隙を与えない恣意的な言動は自分でも気味が悪かった




『真夜中の1時23分がスマホのディスプレイにどのようなフォントで表示されるか知ってます？




＿＿ 1:23 ＿＿





そこに"0"の数字は無いんですよ』






継いだ息と言葉の間接が不慣れに歯車をかちあわせた





『ねぇ零さん。＿＿貴方山田家に行って自分が父親だなんてとんでもない爆弾発言落としたらしいですね。




……何勝手な事してるんですか？』





「……ふっ、はは。恐ろしい本性が顔出したもんだな」





シニカルな物言いを問答無用で流す。反応を見せた自身のその手は＿＿ブローニングＭ29の拳銃に触れると彼の眼中範囲にひけらかした






『今ここで更生出来るのであれば、またとない絶好の機会だと思って＿＿







＿＿死んで下さい。詐欺師さん』

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