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#夏4 ページ5

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そんな生活が1週間続いただろうか。
特別で、普通ではない日常が7日間しかなかった。


大人になった俺でもこの1週間は忘れることのない。


楽しい時間が、日々が1か月、1年あろうと。この7日間には敵わない。





「おー、見える見える!!」
「…そういえば今日夏祭りだったか」




遠い遠い、俺たちが逃げてきた街で花火が上がっていた。
よく見える絶好スポット。そして目的地。



「海と花火って映えるよね」
「ここ崖、気をつけろよー?」




一歩飛べば海に落ちる。そこであははっと笑っていた。



「ねぇ天元、海入ろーよ!」
「水着ねぇって」
「普通の服で後で着替えればいいよ!買った2リットル水もまだあるし!」



ひゃっほーいと駆け出して行くお前。
それに続いて俺も靴と靴下を投げ出した。


崖の下の階段を素早く降りて、浜を駆ける。


ざぶん、と海に入って行った。
夜の海は少しひんやりしていて、強い潮の香りに気持ちよさを感じていた。



腰まで入るところまで来て、お前はもう肩まで浸かれるところにいた。



「もっとこっちまで来てよ!…あっ」



お前がいきなり海に沈む。心臓が、跳ねた。比喩じゃなくて、本当に。



「Aっ!?」



俺も沈み、お前を見つけようと目を開けようとする。





目の前に、お前がいた。

キスが出来るぐらい近くに。

もごもごと水中で笑っているのが見てとれた。

俺のファーストキスは、塩辛い海の味だった。




「プハッ、あはっ!天元!ロマンチックなことするじゃん」



そう笑ってお前は俺の手を取って、またキスをした。




「人って死んだら好きなものになれるらしいけど、私は海になれるよう頑張るね」
「どう頑張るんだよ」
「神頼み」
「まじか」





お前とずっといたい。
お前が死ぬときは、俺も死んでやるよ。



お前はそれを聞いたら天元には死んで欲しくなーい、と言った。


俺だってお前には死んで欲しくねぇって思ってる。でも、俺には止められないだろうから。







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澪凪(プロフ) - こんにちは!なんだか切ないな…。私も、生きて償うべきだったかなって思います。でも、それだけ人一倍責任感が強い子だったんだなと思うとすこし複雑な気持ち。とっても素敵なお話でした、ありがとうございます!! (2021年7月29日 10時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - あの夏が飽和するはもちろん好きですが、この作品も大好きになりました。宇髄さんの作品はあまり読まないんですが、題名から惹かれて最後まで読み切ることができました。とても夏らしくみずみずしい、鮮やかな文章でした。素敵なお話をありがとうございます!! (2021年7月25日 13時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして!彼女の行動はいろいろな捉え方ができるけど、私もやっぱり生きて償うべきだったかなぁと思います。素敵なお話ありがとうございます!! (2021年7月24日 17時) (レス) id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
お酒 - し…死ネタ…地雷だった…心が苦しい…(/ _ ; ) (2021年7月23日 1時) (レス) id: 48240712ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れもんのティー | 作成日時:2021年7月22日 19時

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