リボンを紐解く/1 ページ26
ダン、ダン、と品の無い音を鳴らして階段を次から次へと飛び降りる。
行き先は軽音部部室。
全部、伝えるんだ。
それから晃牙にも、アドニスにも、本音を全部ぶつけてもらう。
『今の私に怖いものなんか無さすぎて逆に怖いって感じだよ…!!』
いつの間にかいつもの調子が戻ってきたみたいだ。ふっ、と笑みがこぼれる。
バン、と軽音部の部室のドアを開く。
零は居ないみたいだけれど、無言で三人が座っていた。
突然の私の登場に驚いたらしく、みんな目を見開いていた。
そんな三人にお構い無く私は言う。
『晃牙、アドニス。』
『ごめん』
『謝っても、許されることじゃないってわかってる』
『だけど、ごめんなさい』
『私を許さないでいてくれて、ありがとう』
過去の私を許さないでくれた。
私はそれに救われた。
二人は、目を逸らしながら何か言いたげで。
『…今二人が私に言いたいこと、全部吐き出し＿』
「A先輩」
私の声を遮ったのはアドニスで。
さっきとは違ってしっかりと私の目を見て口を開いた。
「俺は、いつの間にかA先輩を嫌いになっていた。根も葉もない噂を信じて。けれど、冷静になってやっと気付いた。
＿A先輩は、そんな人じゃない」
力強い声でそう言われて、私は言葉に詰まった。私は胸がぎゅっと締め付けられるような感覚におそわれた。
「…おれ、も。悪かった。さっき羽風先輩とも話して、ちょっと考えればわかはずだった。Aが、そんなことするはずない、って。
でも、やっぱりどこかで朔間先輩のことがよぎって。＿本当に、悪かったと思ってる」
晃牙の絞りだすような声を、私は黙って聞いているしかなかった。
「…二人共冷静になったようじゃの」
部室のドアの方から、いつの間にかそこにいた零の声が響く。
「晃牙くん、アドニスくん。俺の言ったこと信じてくれて、受け入れてくれてありがとね」
薫が安堵した様子で笑う。
私が出ていったあと、きっと薫が二人に全て話してくれていたんだろう。
さぁ、次は彼のところに行かなくては。
私の初めての親友＿だった人に。
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晴色 Haruiro - こ…更新停止になっている…！めっちゃ気になるところ…！ (2020年9月28日 22時) (
レス) id: cb91fa8278 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち - いやあの…2winkは何処へ？？ (2020年5月8日 0時) (レス) id: 8838e23b4e (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 思わず家族の前で大号泣...です！！笑 とても面白いです！続き待ってます！ (2020年4月29日 20時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
あや - ギャグとシリアスの要素をどっちも入れたお話がすごい好きです!夢主ちゃんのおふざけ読んでて面白いです!これからも更新頑張ってください! (2020年3月13日 0時) (レス) id: b66ce4994b (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 合格おめでとうございます！また話がみれるなんて嬉しいです！さっそく今までの話見返してきます！ (2020年2月29日 17時) (レス) id: 185b755f08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kairi | 作成日時：2019年5月15日 16時
