【あんスタ】やまない雨などないのです。【裏切り】

私の物語 ページ34

in廊下 藤堂ななみside

TwitterなどのSNSでは、ライブの事故のことで持ちきりだった。
それはどれも、Aを心配する言葉ばかり。中にはあんずの事を心配する言葉もある。

【A姉さん!みんな心配してますよ!大丈夫ですか!?】
【あんず様、普段は毒舌だけどA姉さんのこと慕ってるから心配。】
【A姉さああああああん！！早く戻ってきてくれえええ】
【あんず様…………!!】

二人は過去に何度かプロデュース科でラジオを配信している。そしていつの間にか経緯はよく分からないが、二人にはA姉さん、あんず様、と呼称がついている。

「なんでっ……!!なんでアイツらばっかり…!!」

みんなしてA姉さんだのあんず様だの…!!ブスのくせにっ!!

今回の作戦は、照明機器をわざと落下させ天満光に怪我を負わせ、全ての機材の最終確認をした安藤Aに罪を着せることが目的だった。
けれど、今この状態…安藤Aは後輩を庇い、悲劇のヒロインとなったのだ。

スマホを床に投げつけてギリギリと奥歯を噛み締める。

「＿ななみ。」

＿やばい
その声は月永レオのものだった。
見られていたかと一瞬動揺したけれどその必要は無かったみたい。

微笑んで私を抱き締めるレオ。
哀れな人。こんなに簡単に人を信じるなんて。

「俺は、お前を守り抜く。」
「先輩っ…!!」

そう言って私は抱き締め返した。

＿最後には、私が一番愛される。
＿だってこれは、私が主役の物語なんだもの。



＿自分に酔いしれていた哀れな魔女は、自分を抱き締める騎士が不敵に笑っていたことに気付けませんでした。いや…魔女は、まだ気付かないままでいい、か。

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