6話 ページ7
丁度朝食を作り終えた頃に、私の恩人さんが目を覚まして居間へとやってきた。桂さんとエリザベスさん……少し長いから、エリーさんとお呼びしても大丈夫でしょうか。
よく考えたら、私ったら桂さんとエリーさんの味の好みとかも知らずに作ってました。出来そうな事がこれくらいしかなかったとは言え、相手が満足して下さらないと恩返しにならないではありませんか。
また物をよく考えずに行動を……私ってなんて馬鹿なの。いつもの自己嫌悪がふつふつと湧き上がってきた。
相手にとって最高の物を提供して、同じくらいの喜びを感じてもらえなければ、自分では恩返しのつもりでもただの自己満足に成り下がってしまう。お二方が不快な思いになってしまったらどうしましょう……。
なんて、まだお二人が食べてすらいないのに、心臓はバクバクと煩く鐘を鳴らしている。
「では、頂くとするか」
『……っ』
お盆を持つ手に、自然と力が入る。後片付けもしなければいけないのに、彼らの反応を確認するまで離れられない。
桂さんは、まず味噌汁のお椀を片手で持って汁を啜った。味わっている間、一瞬も彼から視線を外さず、じっと見守る。
「……うむ、とても美味しいぞ。これは昆布出汁か？」
『は、はい。乾燥昆布を使わせて頂きました』
「そう硬くならなくてもいい。もしや、俺に不味いと言われて突き返されると思ったか？」
『えっ……いやっ、そんな事は』
見破られている。私の心の内が。
でも、こんな風に言われたのが初めてで、どこか擽ったい。あの人は、食べてさえくれなかったもの。
エリーさんも、プラカードに「とっても美味しい、ありがとう」と書いて下さりました。良かった……全身に入っていた力と緊迫が一気に解ける。
「ところで、A殿は食べないのか」
『私は後片付けをしなければならないので、お気になさらず』
「駄目だ。洗い物なんて後で良いから、冷めぬうちに食べるんだ、いや食べなさい」
『え？ あ、も、申し訳ございません……』
ズンズンとこちらにやってきた桂さんに背中を押され、食卓に半ば強制的につかされた。……彼の厚意に甘えて、私も朝食を取る事に。
どれから食べましょうか……あ、桂さんが美味しいと言って下さった味噌汁でも、飲んでみようかしら。
──とても温かい。味噌汁が出来立てだからなだけではありません、こうして久々に他人と触れ合えた……それがとても嬉しかった。
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復活のU（うp主）(プロフ) - これ桂さんオチの夢小説だけど、他キャラとの裏短編集とか作りたいとかぼちぼち思ってます。決して上手くはないんだけど、助平だから裏要素満点なの書きたくなっちゃう。 (2017年8月31日 23時) (
レス) id: c4fae3913d (このIDを非表示/違反報告)
復活のU（うp主）(プロフ) - セルフツッコミしてしまいますが、春雨初登場時ってエリザベスいなかった気がする……ご都合主義という事で、多少の原作との食い違いなどはスルーして下さると嬉しいです(汗)これからもよろしくお願い致します。 (2017年8月28日 14時) (レス) id: c4fae3913d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うp主@
作成日時：2017年8月19日 23時
