ひまわり畑で捕まえて ページ15
「キミ、バイク好きなの?」
コンビニを出ると両手をポケットに突っ込んだ少年が私のバイクをしゃがんで見ていた
背格好から見るにモブ茂と同じくらいの歳だろう
(平日の昼間にどうしてこんな子どもがコンビニに…)
無視してバイクにまたがるのもなんなので声をかけた
少年は特に驚く様子もなく、少しの間私の顔を凝視した後、
「これお前の?」
と私のバイクを指差し聞いてきた
初対面の、しかも歳上の人に向かって「お前」とは…
あまり行儀が良いとは言えないその態度に思わず子ども相手にむっとしてしまう
「そうだけど」
じとりと相手の目を見て言う
少年はさして興味がなさそうに「あそ」とだけ呟くと、今度は私の方を頭の先から足の先まで品定めするような目で見てくる
そしてヘルメットにぴたりと視線をとめると
意味深ににやりと笑う
なんだか子ども離れしたその顔に思わず身構える
「なあ、おねーさんさー
超能力
とか信じる?」
心臓が跳ねた
このタイミングでその質問は偶然にしては出来すぎている
(この少年何か知ってる…?)
しらばっくれるか、適当に子ども扱いするか…
そう決めあぐねていると「ショウ君!」と呼ぶ声がした
声の方を見ると糸目の男がコンビニ袋をひっさげてこちらへ歩いている
「すみません、ショウ君が何か失礼を…?」
「い、いえ、そういうわけでは…」
だいぶ歳が離れているし、全然似てないが兄弟だろうか
大人の方はショウという少年とは違い礼儀正しい
「チッ……
おい島崎、邪魔すんなよな」
島崎というのは名字だろう
となるとこのふたりは兄弟でもなんでもないようだ
「ショウ君、私達が何しにここへ来たのか忘れたのかい?
遊んでないで早く行かないと」
男はショウと呼ばれた少年の肩に手を置き、少年を見下ろしながらそう言う
「わーったよ、行けばいいんだろ、行けば」
「では私達はこれで」
少年は男に背中を押されながら歩きだす
「じゃあな、バイク乗りのおねーさん」
最後に少年がくるりとこちらを振り返り言った
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:出島 | 作成日時:2016年9月5日 22時