検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:182,641 hit

page4「白昼夢」 ページ12

暫くして、私の部屋にはノックの音が響いた。
それは誰かなんて此処から分かるはずもなかった。


_______知らない友達だったら、また悲しませるんだろうな


そう思うと返事するのが怖くなって、目を閉じて寝ているふりをした。
私がいる病室は1人部屋なので私に用があるのは間違いないのに、
こんなことをするのは酷い話だと思う。


けど、思い出せないことで相手を傷つけたくないのだ。



そう思って目を閉じていると、病室の扉が開いた音がした。
その誰かの足音が私のベッドへと近づく。

目を開けないままにしていると、誰かの手が私の頭に触れた。
それは撫でられているようで、懐かしく感じ、
とても安心した。


閉じていた目を薄っすらと開けると、見慣れない男性の顔。
黒髪のふわふわした髪が開けていた窓から入ってくる風で揺れていた。


見たこと無いはずなのに、会ったこと無いはずなのに、
名前も知らないあなたが、何故か私の胸を締め付けた。




この人は誰だろう

会ったことあるのかな

友達なのかな

仲がいいのかな


数えきれない疑問が頭に沢山募っていく。
でも、聞こうだなんて思えなかった。


聞いたら悲しませるだろうというのもあるが、



一番はこのままでいたい、という私の我儘があったから。








***




そして私は目を覚ました。


すぐ近くにある時計と、カラスの鳴き声は、
私が寝ていたことを教えてくれるようだった。

ならさっきの出来事も夢であろうか。
誰かわからない男性の顔ははっきりと思い出せないものの、
とても居心地の良い夢だった。


だが、それを【夢】という一言で終わらしてしまうのは、
少し寂しく感じてしまう、


なんてそれはきっと気のせいだ。







そう思いながら、窓を見ると、



その窓付近にある花瓶に飾られていた花が、
新しく入れ替えられ、





置き忘れのスマホはもう、どこにもなかった。

page5「可能性」→←page3「以前の」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (392 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
981人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , そらる   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。