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来たのは病院だった。
ここでは下に行けばいくほど、訳あり、もしくはその患者の状態は悪い、というようになっている。
ジジイの足が止まったのは最下階だった。
「………此処じゃ」
ジジイよりも早くそのドアに触れた。中に飛び込めば、聞きなれない電子音が一定のリズムを刻み、静かな室内に響いていた。
「っ!!Aっ………!!!!」
顔の大きさに合わない酸素マスクを付け、青白い顔をしたAがそこにいた。
「今日で4日目じゃ」
ーーーAが目覚めないのは
「自来也。今から話す内容は上層部しか知らん極秘情報じゃ。」
分かっていると思うが他言無用じゃと付け足して、話始めた。
九尾を封印した場所に、どういうわけかAもいた。
二人が張っていた結界が解けると、Aは、地に横たわるミナトとクシナの方へ走っていった。
「その時にのぉ…」
Aを中心にして、とても目を開けていられない強い光が辺りを包んだ。それは里にまて届いていたそうだ。
そしてその光がおさまり目を開けると、Aは倒れていて、チャクラは消えかけていた。
しかし驚いたことに、ミナトとクシナの腹に開いていたはずの風穴は埋まっており、外傷は無くなっていた。
屍鬼封尽をしたミナトも、尾獣を抜かれたクシナも弱いながらも確かに息をしていた。
3人を連れて里に戻ると、確かに壊れた里を囲む壁も、壊れた建物も嘘のように傷1つない状態であった。
怪我をした里の住民の傷も癒えていた。
しかし、九尾との戦いにより命を失った者は、外傷は癒えているものの、体温は冷たいまま、再び目を開けることはなかった。
「詳しいことは何も分かっておらん。
ただ1つ明確なのは、これは全てAの力であろうということだけじゃ」
ワシは言葉を挟む事もせず、黙って聞いていた。
しかしこれの何処を極秘にする必要があるのか理解できずにいた。そして少々、ワシの知っている情報と明らかに違うものがある。
問う前に、ジジイは言葉を繋げた。
「お主が言いたいことは分かっておる。
ミナトとクシナのことじゃろう…?」
ワシは頷いた。
そう、明らかに違うもの。それは、この里ではミナトとクシナは死んだことになっているのだ。
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作者名:きゃおる | 作成日時:2022年9月25日 22時