検索窓
今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:9,597 hit

人生塞翁が虎〈壱〉敦side ページ2

ある日の夕暮れ時____。

ヨコハマの某河原に一人の少年が倒れていた。



―――――一杯の茶漬け

梅干に刻み海苔

それに夕餉の残りの鶏肉

それを熱い白湯に浮かべ

塩昆布と一緒にかきこむ

旨かったなあ

孤児院の台所で

人目を盗んで食った夜の茶漬け

ていうか―――――

腹減って死ぬ―――――




「(僕の名前は敦―――――訳あって餓死寸前です)」

「(孤児院を追い出され、食べるもの、寝るところもなく、かといって盗みをはたらく度胸もなく、こんな処まで来てしまった)」

「(生きたければ、盗むか奪うかしかない―――――けど――――)」


頭に孤児院の先生の声が響いてくる


《お前など孤児院にも要らぬ!》

《どこぞで野垂れ死んでしまえ!》


「(五月蝿い―――――僕は、死なないぞ―――――)」

「(生きるためだ。次に通りかかった者そいつを襲い、財布を奪う)」

「(……………気配!)」


そしてバッと後ろを振り向くと、目を見張るほどに綺麗な女の人が土手の上を歩いていた


「(よし、あの人を襲うぞ!)」


そう思い、敦はその人の元へ走り出す


敦「か、金を出せ!」

『お金?あ〜君孤児か』


そう言って敦を哀れみを含んだ眼で見つめてくる


敦「(とても綺麗な声だなぁ)」

『ごめんね、今持ち合わせないんだ…パンで良ければ此、あげるよ』


彼女は小さなパンを差し出しながら言った

そう言われた途端、グウゥと敦の腹の中で蟲が鳴いた


『…………フフッ』

敦「……………頂きます……(物凄く恥ずかしい//……)」


彼女からパンを受け取り、食べる


敦「(!!凄く美味しい…!)」


とその時、彼女の電話が鳴った


『ごめんね、上司に呼び出されちゃったから職場に戻るよ』

敦「あ、はい、御馳走様でした……あの、僕は中島敦といいます。良かったらお名前伺っても…?」

『勿論。象羅木、象羅木Aよ』


それじゃ。と、彼女は帰ってしまった

敦は貰ったパンの最後の一切れを口へ放り込み、また河を眺める

すると、人の足のようなモノが流れてきた

其の侭数尺クルクルと回ったかと思えば、烏につつかれ、沈んでいった


敦「ええい!」


流石に見て見ぬ振りは出来なかったのか、叫びながら敦は川へ飛び込んだ

人生塞翁が虎〈壱〉貴方side→←設定 ※少し変更しました


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:六等星 | 作成日時:2023年4月26日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。