人生塞翁が虎〈壱〉敦side ページ2
ある日の夕暮れ時____。
ヨコハマの某河原に一人の少年が倒れていた。
―――――一杯の茶漬け
梅干に刻み海苔
それに夕餉の残りの鶏肉
それを熱い白湯に浮かべ
塩昆布と一緒にかきこむ
旨かったなあ
孤児院の台所で
人目を盗んで食った夜の茶漬け
ていうか―――――
腹減って死ぬ―――――
「(僕の名前は敦―――――訳あって餓死寸前です)」
「(孤児院を追い出され、食べるもの、寝るところもなく、かといって盗みをはたらく度胸もなく、こんな処まで来てしまった)」
「(生きたければ、盗むか奪うかしかない―――――けど――――)」
頭に孤児院の先生の声が響いてくる
《お前など孤児院にも要らぬ!》
《どこぞで野垂れ死んでしまえ!》
「(五月蝿い―――――僕は、死なないぞ―――――)」
「(生きるためだ。次に通りかかった者そいつを襲い、財布を奪う)」
「(……………気配!)」
そしてバッと後ろを振り向くと、目を見張るほどに綺麗な女の人が土手の上を歩いていた
「(よし、あの人を襲うぞ!)」
そう思い、敦はその人の元へ走り出す
敦「か、金を出せ!」
『お金?あ〜君孤児か』
そう言って敦を哀れみを含んだ眼で見つめてくる
敦「(とても綺麗な声だなぁ)」
『ごめんね、今持ち合わせないんだ…パンで良ければ此、あげるよ』
彼女は小さなパンを差し出しながら言った
そう言われた途端、グウゥと敦の腹の中で蟲が鳴いた
『…………フフッ』
敦「……………頂きます……(物凄く恥ずかしい//……)」
彼女からパンを受け取り、食べる
敦「(!!凄く美味しい…!)」
とその時、彼女の電話が鳴った
『ごめんね、上司に呼び出されちゃったから職場に戻るよ』
敦「あ、はい、御馳走様でした……あの、僕は中島敦といいます。良かったらお名前伺っても…?」
『勿論。象羅木、象羅木Aよ』
それじゃ。と、彼女は帰ってしまった
敦は貰ったパンの最後の一切れを口へ放り込み、また河を眺める
すると、人の足のようなモノが流れてきた
其の侭数尺クルクルと回ったかと思えば、烏につつかれ、沈んでいった
敦「ええい!」
流石に見て見ぬ振りは出来なかったのか、叫びながら敦は川へ飛び込んだ
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作者名:六等星 | 作成日時:2023年4月26日 6時